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第一三共・奥澤社長CEO  DXd-ADCプラットフォームの成果に自信 1次治療への展開など価値継続を実証

公開日時 2025/12/17 04:52
第一三共の奥澤宏幸社長CEOは12月16日に開催した「Science & Technology Day 2025」で、「この6年間でエンハーツは6つの適応症を取得し、対象となるがん患者の治療に大きく貢献した」と強調した。2025年度は早期乳がん、転移性乳がんの早期治療ラインで3つのポジティブなフェーズ2試験のデータを発表。米FDAから米国時間で昨日、エンハーツとペルツズマブの併用療法によるHER2陽性乳がんの一次治療での承認取得の報告を受けたと説明した。ダトロウェイについては、フェーズ3試験が10本以上進行していると述べたほか、I-DXdとR-DXdについて、「新規治療法の確立に向けて、現在当局との協議が進んでいる」と明かした。さらに、自社で単独開発するDS3939や、初の血液がん対象のDS3790にも期待を込めた。

「当社のDXd-ADCプラットフォームは社外から高い評価を頂いている。今後も、サイエンス&テクノロジーをさらに駆使して、2030年までにがん領域でグローバルTOP 10カンパニーもしくはそれ以上のポジションを目指す」―。奥澤社長CEOは2026年度初頭に公表する中期経営計画を前に、こう意気込んだ。

◎竹下グローバルR&Dヘッド 「DXd-ADCの価値を継続的に実証している」

奥澤社長CEOのプレゼンを引継いだ竹下健グローバルR&Dヘッドも、エンハーツの早期乳がんへの展開とダトロウェイのトリプルネガティブ乳がん(TNBC)1次治療における新たな標準治療への展開が、「DXd-ADCの価値を継続的に実証している」と胸を張った。

エンハーツは2025年に15か国・地域で15件の新規承認を取得、45か国・地域で94件の適応拡大承認、85件の規制当局への承認申請を行った。さらに同剤の画期的治療薬指定(BTD)はHER2陽性転移性乳がん1次治療での指定獲得により合計9件に及ぶ。また、ダトロウェイも肺がんや乳がんで35以上の国・地域で承認を取得した。竹下ヘッドは、「このほかにもI-DXd、R-DXdもブレークスルー指定を受けている。すべてのDXd-ADCプログラムが前進している」と強調した。

竹下ヘッドはまた、新しいADCのコンセプトにも触れ、改変抗体またはリンカー・ペイロードを有する新たに創出したDXd-ADCが2剤、DXd-ADCとは異なるペイロードを有する新規ADCが1剤あることを明らかにした。いずれも詳細は明らかにしなかったが、ペイロードやリンカーなどの各要素を入れ替えることで、組織選択制や細胞内での持続を最適化するなどの特徴を有することができるという。

◎ケン・ケラー ビジネスヘッド 2030年までに多数の適応症取得で約6倍の患者に貢献

ケン・ケラー グローバル・オンコロジービジネスヘッドは、「2030年までに少なくとも4つのADCで多数の適応症を取得する計画で、これにより約6倍の患者に貢献できる可能性がある」と強調した。ダトロウェイのグローバル製品売上は25年度第2四半期に100億円を突破。26年に適応拡大を予定しており、「ダトロウェイのTNBCの適応取得によりエンハーツと2剤で転移性乳がん患者の100%に貢献することが可能になる」と期待感を示した。

◎阿部グローバルリサーチヘッド サンディエゴに“スマートリサーチラボ”開設を報

阿部有生グローバルリサーチヘッドは、AI駆動型創薬を推進する目的で、「米国西海岸の創薬クラスターにアクセスするためにサンディエゴに“スマートリサーチラボ”を開設した」と説明。24時間365日の運用で創薬候補の選定を加速するため、全工程を一貫して管理する統合ロボットを導入した。阿部ヘッドは、「創薬研究のプロフェッショナル人材を品川・葛西研究所から選抜して派遣。また、現地で優秀なITエンジニアを採用し、ワンチームで新研究所の立ち上げ作業を進めている」と明かし、26年度から本格的な研究テーマを稼働させると述べた。

サンディエゴのスマートリサーチラボは同社として米国発の創薬拠点となる。阿部ヘッドは、「日本国内からの遠隔で研究実験が行える。データ解析も可能となる」と述べ、サンディエゴと東京の“ハイブリッドモデル”で新たな創薬に取り組んでいきたいと意欲を示した。

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