アステラス・桜井社外取締役 イクスタンジLOE対策「今は重要な局面」CSP2026策定で経営陣と連携
公開日時 2025/12/10 04:51

アステラス製薬の桜井恵理子社外取締役は12月9日、メディア・IRとの意見交換会に臨み、主力品・イクスタンジのLOE(特許切れ)を控えて、「今は極めて重要な局面にある」と強調した。その上で、独立社外取締役のみで構成するEnterprise Priority Monitoring group(EPM)でこの問題を議論しており、「CSP2026(経営計画)の作成において経営陣と密接に連携して進めている」と明かした。また、今年6月に独立社外取締役に就任したMark Enyedy氏は、同社のコスト最適化計画(SMT)が2027年までに達成できると見通しながら、「(SMTは)ビジネス基盤の強化や研究開発など将来的な投資を可能にする戦略でもある」と強調した。
この日の意見交換会で桜井社外取締役は、イクスタンジのLOEについて、次期重点戦略製品一つ一つの成功確率を加味したブランドレビューを行い、高位、低位を含む「“most likely”なシナリオのプランニングを行っている」と明かした。また、CSP2026(経営計画)の策定にあたっては、「取締役メンバーでのセッション、内容についてもCXOともレビューしてもおり、単にファイナンスだけではなくて、パイプラインのレビューなども含めて、自信を持ってCSP2026を発表できるような体制を整えている」と強調した。
◎新組織体制の導入「デリバーすべき価値が出せるよう引き続きモニタリングしていく」
桜井社外取締役はまた、25年4月に導入した人事組織体制や行動規範にも触れた。新組織体制では、研究・開発を統合した「VALUE Creation」と、コマーシャル部門とメディカル部門の独立性を担保して統合した「VALUE Delivery」という組織に改編した。桜井社外取締役は、「組織変更は、いつでも大きなオポチュニティがあるとともに、大きなリスクもある。これをすることで、どう良くなるのか、どんなリスクがあるのかというコンセプチュアルな段階から議論を進めてきた」と説明。組織が定着するまで地道な活動が求められると見通しながら、「今後も継続的に確認しながら、本来患者にデリバーすべき企業価値が出せるよう、引き続きモニタリングしていきたい」と述べた。
◎コスト最適化「FY2027に達成できる」
このほか、全社的な優先事項の一つである「Sustainable Margin Transformation」(SMT)についてMark Enyedy独立社外取締役は、「強固なプロジェクト管理によってスタディの進展が第2四半期の決算結果にも反映された」と説明。「私たちのコスト最適化目標は今後進捗を重ねることで、FY2027年までに着実に達成できると考えている。経営陣と緊密に連携しながら財務規律とレジリエンス(Resilience)に関して継続して議論を行っており、社外取締役はEPMを通して取り組みの進捗状況をモニタリングしていく」と述べた。
◎フォーカスアプローチの生産性向上 Busch氏「強力に支持」
一方、戦略についてAndreas Busch独立社外取締役は、「私はフォーカスアプローチを強力に支持している」と強調。同社の25年10月の第2四半期決算説明会では、岡村直樹代表取締役CEOがプライマリーフォーカスの進展に伴う投資の拡大について言及している。Busch氏は、「経験・知能の蓄積をし、素晴らしい人材を引き付けるという意味では正しいやり方だ。正しい学習によって、近い将来生産性が高まっていくと考えている」と考えを述べた。