製薬協青木会長 研究開発促進税制の拡充を要望
公開日時 2006/06/05 23:00
日本製薬工業協会の青木初夫会長は6月5日、厚労省の「医薬品産業政策の推
進に係る懇談会」で、新薬の開発に多大な費用がかさむ状況を踏まえ、研究開
発促進税制を拡充するよう同省に要望した。控除限度額を法人税額の20%から
25%に引き上げを求めたほか、控除率も研究費総額の10~15%に引き上げるべ
きと主張した。
製薬協によると、製薬企業の研究開発費は89年時点に比べて、04年には3倍以
上に膨らんでいる。しかし、昨年、製薬業界は政府に研究開発税制の特例を延
長するよう要望していたが、結局、特例措置がなくなったため、企業の税負担
が増した。日米政府の研究開発投資をみると、米国はヘルスケア分野に3兆62
2億円(03年)を投資しているが、日本はわずか1290億円(04年)と大きな差
がある。日薬連の森田清会長も「製薬産業は(経済活性化など)国益に利する
産業」との見解を示し、製薬企業の研究開発に対する支援に理解を求めた。
このほか、青木会長は国の研究開発費の配分についても注文をつけた。基礎研
究から臨床研究への橋渡しをするトランスレーショナルリサーチの厚労省予算
は10億円にすぎない状況に苦言を呈した。
厚労省は02年8月に医薬品産業ビジョンを策定、10年後の製薬産業の将来像を
描いた。02~06年にわたる国内治験環境の整備などを柱とするアクションプラ
ンをまとめたが、今年度は最終年度にあたる。来年度以降のアクションプラン
の年内策定をめざすほか、次期産業ビジョンの策定も視野にいれる。「医薬品
産業政策の推進に係る懇談会」では産業界側の意見をヒアリングした。懇談会
は再度開かれる予定。