西間国立福岡病院長 パルミコートの臨床的意義を説明
公開日時 2006/08/09 23:00
国立病院機構福岡病院の西間三馨院長は8月8日、都内で講演し、先月26日に
輸入承認を取得した乳幼児喘息患者に対する国内初の吸入ステロイド剤「パル
ミコート」(アストラゼネカ)の臨床的意義や使用方法について解説した。同
剤の登場で、症状のコントロールが容易になり、発作の回数・夜間睡眠障害の
あった日数や入院のリスクを減少させ、QOLの改善が期待されると説明した。
アストラゼネカ主催の記者勉強会で語ったもの。
1回使用量がアンプルに充填された吸入用懸濁液で、電動式ネブライザーで吸
入できる唯一のステロイド剤。国内フェーズ3では、1日1~2回の使用で、
喘息発作の頻度が投与前に比べ、速やかに減少した(2週後で50%減、12週後
で75%減)。副作用(投与後24週~96週後)として、胃腸障害や感染症、皮膚
および皮下組織障害などが報告されているが、発現率は1~2%で「心配のな
い範囲」(西間氏)という。
懸念されるステロイド特有の成長抑制の影響については、「成長速度はほぼ正
常の範囲内で、問題ない」とした。長期使用の目処としては「毎日朝晩、1~
2週間使えば症状はコントロールできる。その後は1日1回の投与に切り替え、
3ヵ月間投与して症状が改善すれば投与を止める。再発した場合は、治療方法
の練り直しになる」と解説した。
吸入ステロイド剤は副作用が少なく、海外では喘息治療の第一選択肢として位
置づけられている。しかし、国内では小児気管支喘息治療管理ガイドライン
(GL)で同剤を推奨しているにもかかわらず、「GLが浸透しておらず、治療の
完成度が低いところで止まってしまっている」(西間氏)などの理由で浸透度
は低い。5歳以上の小児喘息患者は入院日数が漸減傾向にある一方で、乳幼児
患者は減少していないなどの問題があり、吸入ステロイド剤のような持続的治
療の可能な抗炎症療法が求められているという。