エスエス・羽鳥社長 第2位グループ入りへ、広告費を大幅に拡大
公開日時 2006/08/23 23:00
エスエス製薬の羽鳥成一郎社長は8月22日の会見で、2010年までの中長期経営
計画の骨子を発表し、「国内大衆薬市場で第2位グループの中に入りたい」と
強調した。強固なブランド構築に向けて広告費を大幅に拡大するほか、「少な
くとも10億円以上が見込める製品を10品目以上発売する」との方針を示した。
美薬品(美容的医薬品)の市場拡大が見込めるアジア市場へも積極展開する計
画で、中国、台湾、韓国の美白ビタミン市場における期待値として70億円の売
上が見込めると説明した。
羽鳥社長は会見で、2010年の目標売上高として、業界第2位グループ入りを目
標とした場合、「700億円くらいという数値はごく自然な考え」と説明。特に
海外事業を強化する方針で、「東南アジアや中国では、ホワイトニング(美白)
の市場が大きい。ハイチオールCは絶対成功できる」と説明。既に進出してい
る韓国、香港、台湾に加え、今後はフィリピン、中国にも進出することを明ら
かにした。ビタミンB2主薬製剤「ローランBB」のリニューアルバージョンも市
場投入していく。
一方で「強力なブランドを構築することが、ロイヤルカスタマーを作る」と明
言。「コンシューマー志向型のマーケティングを目指すには、広告の影響は非
常に大きい」としたうえで、「広告費を現在のネットセールスの10%前後から、
20%に引き上げる」との考えを明らかにした。
営業生産性の向上を図るための対策にも乗り出す。これまで薬局・薬店などで
展開してきた「プッシュ型」から、広告などで消費者の購買意欲を喚起する
「プル型」の戦略にシフトさせ、店頭商品の消化を促す。在庫が眠っていたり、
店頭消化に時間がかかり、返品率が高いなど「健全でない」状況を改善するの
が狙い。それにより、ここ数年悪化していたたな卸資産回転率(在庫がどれだ
け入れ替わっているかをみる指標)の改善を目指す。
スイッチOTCの開発の方向性としては、LSI(ライフサイエンスインスティチュ
ート:旧中央研究所を改組・改称)で独自技術の創造力を強化するとともに、
同社が傘下に入っている独ベーリンガーインゲルハイムからの導入を進めてい
く方針だ。
エスエスの05年度連結売上は556億円で、06年度は545億円を予想。大衆薬トッ
プの大正製薬の05年度売上は1748億円(セルフメディケーション事業)に達し
ているほか、アステラス製薬からゼファーマを買収した第一三共は500億円規
模(ヘルスケア事業)でスタートし将来1000億円を目標に掲げている。