がん学会 アムジェンの血管新生阻害剤のフェーズ1、全例が安定
公開日時 2006/10/01 23:00
日本癌(がん)学会学術総会では、固形がん患者への血管新生阻害剤「AMG706」
(アムジェン)のフェーズ1結果が明らかにされた。国立がんセンター中央病
院の藤阪保仁氏が発表した。CR(完全寛解)やPR(部分寛解)はないが、投与
患者全例がSD(安定状態)で、うち7例では3ヵ月以上投与を継続できた。副
作用として、13%(2人)にグレード3の高血圧が確認されたが、それ以外は
全身倦怠感など軽微なものだった。現在、GIST(消化管間質腫瘍)に対しフェ
ーズ2が進行中。
AMG706はVEGF・PDGF受容体およびKitを標的とし、血管新生阻害作用および抗
腫瘍活性を持つ経口マルチキナーゼ阻害剤。フェーズ1では、標準的治療に不
応または標準的治療法のない20歳から74歳の固形がん患者15例を対象に、最大
耐量(MTD)の推定、推奨投与量の決定、安全性の評価、薬物動態について検
討した。
対象患者は3ヵ月以上生存が期待でき、VEGFRチロシンキナーゼ阻害剤の使用
歴のないがん患者。がん種別で見ると、肉腫4例、GIST3例、大腸がん2例、
胆管がん2例、非小細胞肺がん2例、胃がん1例、胸腺腫1例。2例を除き前
治療として化学療法を受けていた。投与方法は1日1回の連日投与で、3サイ
クル(1サイクル:28日間)で、投与量は50mg~125mg(3例は50mg、3例は1
00mg、9例は125mg)だった。
試験結果として、海外で推奨されている125mgまで良好な忍容性を示したこと
が発表され、フェーズ2の推奨投与量は125mgと決定された。125mgを投与した
9例中6例が180日以上の投与が可能で、非小細胞肺がんは521日、ザルコーマ
(肉腫)は550日を超えている。主な副作用としては高血圧が9例(2例はグ
レード3、7例はグレード2)確認されたほか、尿たんぱく陽性8例、全身倦
怠感6例だった。CmaxとAUCは用量依存的に増加したが、蓄積性は認められな
かった。