アバスチン/タルセバ 併用療法で無憎悪生存期間が改善
公開日時 2006/11/09 23:00
【チェコ・プラハ=小沼紀子】肝細胞がん患者(HCC)に対する「アバスチン」
(ベバシズマブ)と「タルセバ」(エルロチニブ)を併用したフェーズ2試験
の結果が、「第18回EORTC-NCI-AACRシンポジウム」で発表された。タルセバ単
独投与などに比べ、無憎悪生存期間(PFS)が改善されたという途中解析結果
で、最終結果は来年の7月頃までにまとまる予定。
同試験は米テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMELANIE B.Thomas助教
授が発表したもの。プライマリーエンドポイントは生存率と投与4ヵ月の無憎
悪生存期間の改善率で、これらを過去のHCCに対する治療成績と比較した。最
終解析目標としている40例の患者のうち、29~77歳(平均年齢67歳)までの20
例のデータを途中解析した。
臨床効果は完全寛解(CR)が1例、部分寛解(PR)が3例、安定(SD)が10例
(16週間後)と3例(8週間後)だった。CRの患者はC型肝炎から肝がんに移
行した患者で同教授によるとCRに至った背景因子は不明としている。
投与2ヵ月のPFSは80%、投与4ヵ月では70%だった。同氏は本誌の取材に対
し「過去のデータではタルセバ1剤の治療では4ヵ月のPFSは35%に過ぎなか
ったが、アバスチンとの併用療法で70%に向上し、有意に改善することが分か
った」と強調した。