坪井東京医科大准教授 タルセバ、イレッサとの比較検討結果を報告
公開日時 2007/11/29 23:00
東京医科大学の坪井正博准教授(外科第一講座)は11月28日の中外製薬主催の
セミナーで、同社の非小細胞肺がん治療薬タルセバ(一般名:エルロチニブ)
について、複数の試験データを踏まえ、同じEGFRチロシンキナーゼ阻害剤のア
ストラゼネカのイレッサとの比較検討結果を報告。
それによると、腫瘍縮小効果はほぼ同等。タルセバの108例を対象とした国内
フェーズ2では、生存期間中央値13.8ヵ月という良好な結果が示されたとした。
抗腫瘍効果の高い患者群は同様に▽アジア人▽女性▽非喫煙者▽腺がん――で
あることも明らかになった。
イレッサではEGFR遺伝子変異のある患者で高い効果が確認されたが、坪井氏は
「タルセバでも今後国内で同様の研究が行われるだろう」と語った。
多かった有害事象の種類は、発疹(98%)、下痢(72%)、皮膚乾燥(71%)、
そう痒症(69%)などイレッサとほぼ同じだが、多少発現頻度が高かったとい
う。懸念される間質性肺疾患の発症率は、国内フェーズ1、2試験で2.4%(1
23例中6例、うち3例死亡)だった。
イレッサとタルセバの使い分けに関しては「今の段階では情報がない。市販後
調査の結果が出てくれば、いくつかの流れが出てくるのではないか」との見方
を示した。
タルセバは、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤として、海外大規模フェーズ3で世
界で初めてプラセボに比べ全生存期間の有意な延長を示しており、坪井氏は、
国内で手術不能・進行非小細胞肺がんの2次治療の標準薬として使用されるタ
キソテールに並ぶ有望な治療薬になると期待感を示した。
中外が10月に承認を取得。医師、患者向け治療確認シートの配布、30ヵ月間か
けた全例調査(600~900施設、3000例)、社外適正使用検討委員会の設置など
安全対策に万全を期す構え。