アステラス 大型化候補の抗血栓症薬、用量に依存した有効性を確認
公開日時 2007/12/13 23:00
アステラス製薬は12月13日のR&Dミーティングで、大型化を期待する抗血栓症
薬(経口ファクターXa阻害剤)YM150のフェーズ2b試験(ONYX-2試験)の結
果を公表した。用量に依存してVTE(静脈血栓症)発現率の低下を認めたほか、
安全性や忍容性も確認したという。30mg、60mg、120mgで高い効果が得られて
おり、来年には自社でフェーズ3試験をスタートさせる計画だ。
ONYX-2は股関節置換術を受けた患者に対するYM150の用量設定を行うために行
った静脈血栓症抑制効果をみた試験。YM150投与患者を5群(5mg、10mg、30m
g、60mg、120mg)に分け、二重盲検で術後6~10時間後に投与を開始。対照薬
はエノキサパリン(非盲検で術前12時間に40mgを投与開始)。1群あたり症例
数は110例。有効性の主要エンドポイントは投与7~10日までのVTE発現率とし、
このほか肺塞栓症や全ての死亡などを評価した。一方、安全性の主要エンドポ
イントは投与7~10日までのMajorな出血イベント(輸血や外科処置を要する
重大な出血)とした。
試験結果によると、VTE発現率はYM150投与群では用量に応じて減少し、30mg~
120mg群で高い効果が得られた。具体的には5mg群で27.4%、10mg群で31.7%、
30mg群で19.3%、60mg群で13.3%、120mg群で14.5%。エノキサパリン投与群
では18.9%だった。両薬剤の投与群とも肺塞栓症の発症はなかったが、YM150
の120mg群で1人の死亡が確認された。
一方、安全性の面では、YM150の60mg群でMajor出血が1人確認された。Major
出血以外の臨床的意味のある出血の発現率は5mg群で2%弱、30mg群で2%強、
60mg群で4%強、120mg群で2%弱。ALT(血清トランスアミナーゼ)上昇/TB
L(総ビリルビン)上昇が5例確認された。一方、エノキサパリン群ではMajor
出血が1人、臨床的意味のある出血が2%強に見られた。
この結果を踏まえ、同社では「有効用量は30~120mgと考えられ、今後はいず
れかの用量を開発すべきと考えられた」とした。試験結果は12月10日に米国血
液学会で発表されている。