イレッサ 臨床試験で一次治療適応の可能性も厚労省幹部は静観
公開日時 2008/09/17 23:00
日本を含むアジアの化学療法治療歴のない約1200人の非小細胞肺がん患者を対
象にした大規模臨床試験(IPASS)で、イレッサを投与した患者群が、カルボ
プラチンとパクリタキセルの併用化学療法群に比べて、無増悪生存期間(PFS)
で非劣勢にとどまらず、優越性を証明したとの試験結果が、欧州臨床腫瘍学会
(ESMO)で報告された。この中ではEGFR遺伝子変異のある患者で、有意にPFS
が長くなることも分かった。今後、全生存期間データも調査する。
英アストラゼネカが9月15日に発表したもので、同社はこのデータをもとに日
本の厚生労働省とも一次治療の適応に改めることを視野に協議に入りたいとの
意向を示している。現在のイレッサの適応は、手術不能または再発ケースの二
次治療となっている。
それに対し厚労省医薬食品局幹部は、関心を寄せながらも、まだ論文になって
おらず、EGFR遺伝子変異の有無に対する詳細な解析、全生存期間データなど冷
静な分析が必要ではないかとの見方を示した。イレッサの安全対策上の取り扱
いについては、二次治療と一次治療と患者群が異なるため、現時点では影響は
なさそうだ。