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シブトラミン 欧州で販売中止、米国は添付文書の改訂に

公開日時 2010/02/04 04:00

欧州医薬品審査庁(EMEA)の医薬品審査委員会(CHMP)が、アボット社が販売する塩酸シブトラミン含有肥満症治療薬の販売中止を勧告したことに注目が集まっている。


勧告のきっかけは、シブトラミンに関する心血管リスクの評価を行った「SCOUT研究」の中間解析の結果。同研究は、心臓発作や脳卒中を最近起こした患者、コントロール不良なうっ血性心不全以外の心疾患または2型糖尿病の既往歴に加え、別の心血管系のリスク因子が一つある55歳以上のBMIが27~45、あるいはBMIが25~27で腹囲が男性102cm以上、女性88cm以上の過体重あるいは肥満の患者1万742人を対象にプラセボ対照無作為化比較試験を実施。うち9800人で6年間の追跡調査が可能だった。


現在判明している結果では、心血管イベントの発生頻度はプラセボ群10.0%に対してシブトラミン群11.4%。また、体重減少はプラセボ群に比してシブトラミン群では2~4kg上回ったとされる。これについてCHMPは「シブトラミンにより深刻な心血管イベント発生リスクは高まっており、一方で得られる体重減少幅は小さく、なおかつ薬剤の中止で効果は相殺される可能性がある」との判断を下した。


一方、米FDAはCHMPの勧告と同日に▽心筋梗塞や狭心症を含む冠動脈疾患▽うっ血性心不全▽不整脈▽脳卒中や一過性脳虚血発作(TIA)▽末梢動脈疾患▽コントロール不良な高血圧――の既往がある患者では、使用しないよう添付文書を改訂するにとどめ、3月にアボット社から提出される見込みのSCOUT研究の最終結果を見て再び判断を下すとしている。また、オーストラリア保健省・医薬品医療関係製品管理局(TGA)もFDAと同様の対応をとっている。


今回の勧告にアボット社は「SCOUT研究自体が心血管リスクの高い患者を対象にした安全性確認のための特別な試験で、被験者の9割以上は添付文書で定める使用患者としては適さない」と反論。しかし、CHMPは既に勧告のなかで「肥満そのものが心血管イベントのリスクになる」と記述しており、販売中止は避けられない見込みだ。アボット社も最終的に勧告には従う意向を示している。


現在の塩酸シブトラミンの全世界売上高は3億ドル。そのほとんどがアメリカ以外のもので、なおかつこの規模は同社の売上高の1%超に相当し、今回の勧告による影響は少なくないと見られる。


(The Pink Sheet  1月25日号より)  FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから

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