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【ASHリポート】ニロチニブ 初発の慢性期フィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病で高いMMR、CCyR、CMR得られる

公開日時 2010/12/14 06:45

初発の慢性期フィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+ CML-CP)でニロチニブはイマチニブと比べて、より高い分子遺伝学的寛解(MMR)、細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)、および分子遺伝学的完全寛解(CMR)が得られる。オーストラリア・アデレード大学血液学講座教授のTimothy P. Hughes氏が12月6日、第52回米国血液学会(ASH)年次総会のオーラルセッション「Chronic Myeloid Leukemia - Therapy: Optimizing Treatment Outcome」で、ニロチニブとイマチニブの第3相比較臨床試験「ENESTnd」の24か月間延長経過観察結果を基に報告した。


ENESTnd試験は初発Ph+ CML-CPを対象に35か国217施設で行ったニロチニブとイマチニブの一次治療としての比較試験。試験登録基準は、(1)Ph+ CML-CPとの診断から6か月以内(2)ハイドロキシウレア、アナグレライド、2週間以内のイマチニブ投与以外の前治療歴なし(3)年齢18歳以上(4)ECOGパフォーマンス・ステイタス0-2(5)QT間隔をFridericia式により補正したQTcF450msec未満(6)適切な臓器機能が保持されている-- この登録基準を基にニロチニブ300mg1日2回投与群282例、ニロチニブ400mg1日1回投与群281例、イマチニブ400mg1日1回投与群283例の3群間で比較検討した。


24か月目の各群の登録患者の治療継続率はニロチニブ300mg群74%、ニロチニブ400mg群78%、イマチニブ400mg群67%、治療期間中央値はニロチニブ300mg群25.0か月、ニロチニブ400mg群25.7か月、イマチニブ400mg群24.7か月。一方、単位時間当たりの薬剤投与量(DI;dose intensity)中央値はニロチニブ300mg群25.0か月、ニロチニブ400mg群25.7か月、プライマリー・エンドポイントである12か月目のMMRは、ニロチニブ300mg群44%、ニロチニブ400mg群43%、イマチニブ400mg群22%、24か月目のMMRはニロチニブ300mg群62%、ニロチニブ400mg群59%、イマチニブ400mg群37%といずれもイマチニブ群に比べ、ニロチニブ群で有意に高率だった(p<0.0001)。


また累積MMR率も12か月目でニロチニブ300mg群55%、ニロチニブ400mg群51%、イマチニブ400mg群27%、24か月目でニロチニブ300mg群71%、ニロチニブ400mg群67%、イマチニブ400mg群44%で、いずれもニロチニブ群がイマチニブ群よりも有意に高率を示した(p<0.0001)。


一方、Ph+ CMLの原因となるBcr-Ablタンパクの発現量の中央値がイマチニブ群では24か月目で中央値0.09%となったのに対し、ニロチニブでは300mg群、400mg群ともに12か月目で同じ中央値を達成しており、Bcr-Abl量0.01%以下はニロチニブ300mg群44%、ニロチニブ400mg群36%、イマチニブ400mg群20%とニロチニブ群で有意に高かった(p<0.0001)。


また、CMRとみなされるBcr-Abl量0.0032%以下となった割合もイマチニブ400mg群10%に対し、ニロチニブ300mg群26%(p<0.0001)、ニロチニブ400mg群21%(p=0.0004)と有意差が見られ、CCyRもニロチニブ300mg群87%、ニロチニブ400mg群85%、イマチニブ400mg群77%とニロチニブ群で高率傾向を示していた。 薬剤が有効ながらも長期予後の観点から病状が進行するリスクを伴う状態であるsuboptimal responseは12か月目でニロチニブ300mg群と400mg群はともに4%だったのに対し、イマチニブ400mg群13%、18か月目でニロチニブ300mg群24%、ニロチニブ400mg群30%、イマチニブ400mg群45%。治療効果が得られないtreatment failureは12か月目でニロチニブ300mg群、400mg群ともに3%、イマチニブ400mg群11%、18か月目ではニロチニブ300mg群、400mg群ともに4%、イマチニブ400mg群16%と、いずれもニロチニブ群が良好。


さらに移行期や急性期へ進行した症例の割合はニロチニブ300mg群2%、ニロチニブ400mg群3%、イマチニブ400mg群12%でニロチニブ群では有意に進行が抑制されていた(300mg群:p=0.0059、400mg群:p=0.0196)。


有害事象は、骨髄抑制関連はグレード3以上の貧血、血小板減少症の発現率は3群間でほとんど差がなく、好中球減少症はイマチニブ群21%とニロチニブ群(300mg群12%、400mg群11%)と比べで高率に発生していた。その一方でリパーゼ、ALT、総ビリルビン、グルコースなどの生化学的検査値異常はニロチニブ群で高率で、とりわけニロチニブ400mg群で高い傾向だった。


なお、24か月目での推定無増悪生存率はニロチニブ300mg群98.0%、ニロチニブ400mg群97.7%、イマチニブ400mg群95.2%、推定全生存率はニロチニブ300mg群97.4%、ニロチニブ400mg群97.8%、イマチニブ400mg群96.3%で各群ほぼ同等だった。こうした結果からHughes氏は「ニロチニブはいずれの投与量でも良好な忍容性を示し、有害事象発現率も低い」との見解を示した。
 

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