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抗血小板薬、降圧薬、スタチンなど早期介入が脳卒中再発率低減に寄与

公開日時 2011/01/27 04:00

“ACVS”念頭に脳卒中再発抑制を

 

 

 

第13回日本栓子検出と治療学会(エンボラス学会)
シンポジウム「TIAの病態と治療」 【2】

 

山上氏TIAおよび軽症脳梗塞を包括して「急性脳血管症候群(ACVS)」とする新しい疾患概念が注目を集めている。このような中で、ACVSを念頭に置いた内科的治療も求められるところだ。神戸市立医療センター中央市民病院神経内科・脳卒中センターの山上宏氏は11月20日、シンポジウムの中で、脳卒中再発抑制を目指し、画像評価には早期診断と病型に応じた早期の治療介入が重要との考えを示した。

 

 

 

 

 

 

 

 

TIA患者の危険因子としては、血圧、血糖値、LDL-コレステロール、喫煙、心房細動、頚動脈・脳動脈狭窄などがある。
 

内科治療では、これら危険因子への早期介入がカギとなるが、脳卒中の再発リスクを低下させる大規模臨床試験のエビデンスはまだ限られており、課題も多い。中でも降圧療法や脂質低下療法については、過去のエビデンスから早期の治療開始が有効であるとの報告があるものの、それぞれ単独治療におけるエビデンスは限定されている。
 

山上氏は、これまで行われた大規模臨床試験の結果を中心に、早期治療の重要性を強調した。

 

 

 

 

 

EXPRESS、SOS-TIAなど大規模臨床試験でみられる早期介入の有効性

 

 

初期のTIAおよび軽症脳卒中の患者を対象に、早期診断・早期治療を行う意義を検討した「EXPRESS」試験では、90日以内の脳卒中の発症リスクを80%低減させるなど、大きな効果が得られ、注目を集めた。
 

山上氏は、同試験ではアスピリンに追加されたクロピドグレルや2剤以上の降圧薬、スタチンが早期に使用されたことを指摘し、早期介入が脳卒中再発率の低減に寄与していたとの考えを示した。
 

一方、24時間体制でTIA患者を受け入れ、早期治療の効果を検討した「SOS-TIA」試験では、90日以内の脳卒中の発症率は1.24%まで抑えられている。
 

同試験では、すべての患者にアスピリン300~500㎎のloading(大量投与)したほか、血圧値や脂質値により降圧薬やスタチンを投与した。さらに心房細動があり、抗凝固薬未服用例では経口薬投与と同時にプロトロンビン時間国際標準比(INR)が2を超えるまで低分子へパリンの皮下注を行っている。そのため、山上氏は同試験の結果もEXPRESS試験と同様に早期治療の有効性を示すデータとした。

 

 

 

 

 

頚動脈・脳動脈狭窄例では急性期の抗血小板薬併用も

 

 

また、抗血小板療法の有効性を検討した臨床試験として、「CARESS」試験と「CLAIR」試験の結果を紹介。頚動脈・脳動脈狭窄に由来するアテローム血栓性脳梗塞の急性期治療においてアスピリン+クロピドグレルの短期間の2剤併用が出血性合併症を増やさず、早期の再発を抑制したとの見解を示した。
 

血圧の有効性については、「ACCESS」試験の結果を示しながら、ARB・カンデサルタンの早期投与により、発症後1年以内の死亡および心血管発症率が減少したと説明。ARBを早期から投与することで、長期予後を改善する可能性があるとし、「脳血流低下がなければ、初期からの降圧を考慮してもよいのではないか」と述べた。
 

そのほか、心房細動ではワルファリンの早期投与の重要性を強調した。血糖管理や脂質管理については急性期の有用性が明確になっていないとの見解も示した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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