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【ISCリポート】CREST試験 CEAはCASに比べ脳卒中+死亡の発症率が低率に

公開日時 2011/02/10 16:16

 高度の頸動脈狭窄患者に対する頸動脈ステント留置術(CAS)と頸動脈内膜剥離術(CEA)の安全性を検討したところ、CEA施行群では脳卒中+死亡の発症率が低い一方で、CAS留置群では心筋梗塞の発症率が低いなど、異なる安全性を示すことが分かった。この傾向は、症候性、無症候性によらず、同様であることも示された。「CREST(Carotid Revascularization Endarterectomy Versus Stenting Trial)」試験のサブ解析結果から分かった。Ariane Mackey氏らが米国・ロサンゼルスで開催されている国際脳卒中学会議(ISC)で2月9日に開かれたセッションで報告した。


今回の解析は、症候性、無症候性の高度な頸動脈狭窄患者に対し、それぞれCASとCEAの安全性を検討することを目的に実施された。これまでに行われた臨床試験では、症候性の状況によって安全性が異なることが示唆されてきた。


対象は、症候性患者1321例、無症候性患者1181例に分け、それぞれCAS留置群、CEA施行群に分け、安全性を比較した。主要評価項目は、周術期の脳梗塞+心筋梗塞+総死亡または4年以内の同側性虚血性脳梗塞――の複合エンドポイント。試験は、PROBE法で行われた。追跡期間(中央値)は2.5年間。


その結果、周術期の脳卒中+心筋梗塞+死亡の発症率は、CAS留置群で5.2%、CEA施行群では4.5%で、ハザード比は1.18で両群間に有意差はみられなかった(95%CI:0.82~1.68、P値=0.38)。内訳をみても、症候性、無症候性ともにCAS留置群、CEA施行群に有意差はみられなかった。


◎脳卒中+心筋梗塞の発症リスクはCEAで低く


周術期の脳卒中+死亡に絞ってみてみると、発症率は、CAS留置群で4.4%、CEA留置群では2.3%。ハザード比は1.90で、CAS留置群で有意に多い結果となった(95%CI:1.21~2.98、P値=0.0052)。


症候性、無症候性に分けてみると、症候性患者では、CAS留置群6.0%、CEA施行群では3.2%で、有意にCAS留置群で多い結果となった(ハザード比:1.89、95%CI:1.11~3.21、P値=0.019)。


無症候性患者では、CAS留置群で2.5%、CEA施行群で1.4%で有意差はみられなかったものの、ハザード比は1.88で、CAS留置群で多い傾向がみられた(95%CI:0.79~4.42、P値=0.15)。80歳以上の患者を対象にみても発症リスクは高いものの、同様の傾向を示した。


◎心筋梗塞の発症リスクはCAS留置群で低く


一方、周術期の心筋梗塞発症率をみると、CAS留置群で1.1%、CEA留置群で2.3%で、ハザード比は0.50で、有意にCAS留置群で有意に低い結果となった(95%CI:0.26~0.94、P値=0.03)。この傾向は、症候性、無症候性によらず同様だったが、いずれも有意差はみられなかった。


Mackey氏は、周術期の脳卒中+死亡の発症率は、これまでの大規模臨床試験で報告されてきた数値を下回っていると説明。さらに、米国心臓協会(AHA)と米国脳卒中学会(ASA)のガイドライン(GL)で推奨されている症候性で6%、無症候性で3%をCEA、CASともに下回っていると指摘した。これらの結果は、CEAの方がやや良好な結果だが、「現行のガイドラインを症候性、無症候性ともに支持する結果」とし、CEA、CASどちらの治療オプションも受け入れられるとの考えを示した。


なお、同解析結果は、同日付の医学誌「Stroke」に掲載された(Stroke.2011:42:675-680)。

 

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