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【AHAリポート】ATLAS ACS2-TIMI51 ACS患者に低用量のリバロキサバン投与で心血管イベントの発生16%抑制

公開日時 2011/11/14 18:20

 

急性冠症候群(ACS)の既往がある患者に、従来の抗血小板療法に、低用量のリバロキサバンを追加投与することで、心血管死亡、急性心筋梗塞、脳卒中の発生を16%抑制することが分かった。一方で、出血イベントの上昇はみられたものの、致死的な出血性イベントを増加させないことも示された。同剤の臨床第3相試験(P3)として実施された二重盲検下ランダム化比較試験「ATLAS ACS 2-TIMI51(Anti-Xa Therapy to Lower Cardiovascular Events in Addition to Standard Therapy in Subjects with Acute Coronary Syndrome – Thrombolysis in Myocardial Infarction 51 )」の結果から分かった。ATLAS ACS2 -TIMI51 Investigators を代表して、C.Michael Gibson氏が米国・オーランドで開催されている米国心臓協会年次学術集会(AHA)2011のLate-Breaking Clinical Trialsセッションで11月13日、報告した。(11月13日 米国・オーランド発 望月英梨)


ACS発症後、退院時には、75%以上の患者に標準治療であるアスピリン+クロピドグレルなどのチエノピリジン系薬剤の併用がなされているが、なお心血管イベント再発のリスクが高いことが知られている。一方で、これまでに実施されたACSの二次予防の試験では、アスピリンにワルファリンを追加投与した試験があるが、優越性を示すに至っていない。また、直接トロンビン阻害剤・ダビガトランでは、ACS患者を対象に用量依存的な出血の増加が報告されているほか、アピキサバンのACS患者への標準療法への追加投与は虚血性イベントを減少せず、出血性イベントを増加したことがすでに報告されている。


このような中、試験はACS患者の二次予防において、標準療法にリバロキサバンを追加投与する意義を検討する目的で実施された。対象は、ACS(ST上昇型心筋梗塞、非ST上昇型心筋梗塞、不安定狭心症)で入院後7日以内で、症状が安定している患者1万5526例。日本人400例を含む44カ国、766施設から登録された。


①リバロキサバン2.5mg1日2回投与群(以下、低用量群)5174例②リバロキサバン5mg1日2回投与群(以下、高用量群)5176例③プラセボ群5176例――の3群に分け、治療効果を比較した。アスピリン75~100mg/日を全例に投与し、チエノピリジン系抗血小板薬の併用を医師の裁量で可能とした。


有効性の主要評価項目は、心血管死+心筋梗塞+脳卒中(虚血性、出血性、原因不明)。安全性の主要評価項目は、冠動脈バイパス術(CABG)と関連しないTIMI出血基準による出血を据えた。追跡期間は平均13.1カ月、最長で31カ月追跡した。イベントの発生率は、Kaplan-Meier法で24カ月時点とした。試験期間は、2008年11月~11年9月まで。


患者背景は、ST上昇型心筋梗塞は50.3%、非ST上昇型心筋梗塞は25.6%、不安定狭心症は24.0%だった。アスピリンとチエノピリジン系薬剤を併用している症例は93%だったが、併用期間は、平均13.3カ月だった。低用量群で26.9%、高用量群で29.4%、プラセボ群で26.4%が治療を中断し、試験から脱落している。


◎リバロキサバン2年間投与のNNTは56に


主要評価項目(有効性)の発生率は、リバロキサバン群で8.9%(626例)で、プラセボ群の10.7%(376例)に比べ、16%リスクを有意に低減した(HR:0.84 [95%CI:0.74-0.96]、p=0.008)。NNT(Number needed to treat:1人の患者の死亡を減らすために、何人の患者の治療を必要とするかを表す)は56だった。
用量に分けて主要評価項目の発生率をみても、高用量群で8.8%(313例)、低用量群で9.1%(313例)で、いずれも有意に低下した(p=0.03、p=0.02)。高用量群では、心筋梗塞の発生が4.9%(179例)でプラセボ群の6.6%(229例)より減少したものの、心血管死の減少は、高用量群は4.0%(132例)、プラセボ群の4.1%(143例)で、有意な低下はみられなかった。


一方、低用量群では、心血管死(2.7%対4.1%、p=0.002)、全死亡(2.9%対4.5%、p=0.002)で、有意に良好な結果となった。ただし、心筋梗塞、脳卒中の発生については、有意差はみられなかった。
ステント血栓症の発生率は、リバロキサバン群は2.3%(98例)で、プラセボ群2.9%(72例)に比べ、有意に低下した(HR:0.69[0.51-0.93]、p=0.008)。なお、各群の約6割の患者に、PCIもしくはCABGが施行されていた。
一方、主要評価項目(安全性)は、プラセボ群0.6%(19例)に対し、リバロキサバン低用量群1.8%(65例、HR:3.46)、高用量群2.4%(82例、HR:4.47)で、有意にリバロキサバン群で高い結果となった(いずれも、p<0.001)。頭蓋内出血も、プラセボ群の0.2%(5例)に対し、低用量群0.4%(14例)、高用量群0.7%(18例)で、用量が増えるにつれ、有意に増加した(p=0.037、p=0.005)。


ただし、致死的な出血は、プラセボ群の0.2%(9例)に対し、低用量群0.1%(6例)、高用量群0.4%(15例)で、有意な上昇はみられず、致死的な頭蓋内出血も有意に増加する傾向はみられなかった。そのほか、肝機能値の上昇などもみられなかった。


結果を報告したGibson氏は、致死的な出血の上昇がみられなかった2.5mg1日2回投与群の有効性を強調。「リバロキサバン2.5mgを1日2回、2年間投与する抗血小板療法を56人に行うことで、1人の死亡を予防することができる」と述べ、治療効果を強調した。


◎開発メーカー 欧米で年内申請を目指す


なお、同試験の結果は同日付の「The New England Journal of Medicine」に掲載された。同剤の開発を進めるバイエルヘルスケアとジョンソン・エンド・ジョンソン ファーマシューティカル リサーチ & ディベロップメントは、同適応について欧米で、年内中の申請を目指すとしている。米国・FDAでは、すでに生命に危険を脅かすような重篤な疾患で、アンメット・メディカルニーズがある疾患領域であることから、迅速審査(ファスト・トラック)に指定されており、原則として申請から6カ月間で承認されるという。日本国内での申請時期は未定。

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