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【AHAリポート】ELEVATE-TIMI56 クロピドグレル3倍用量投与で低反応性改善の可能性示す

公開日時 2011/11/18 17:45

抗血小板薬・クロピドグレルの低反応性の安定冠動脈疾患患者に、維持用量を通常の3倍投与することで、通常の患者と同等の効果が得られる可能性が示唆された。米国・オーランドで開催された米国心臓協会年次学術集会(AHA)2011で、Brigham and Women's HospitalのJessica L.Mega氏が11月16日に開かれた「Late-Breaking Clinical Trials」セッションで、多施設ランダム化二重盲検下比較試験「ELEVATE-TIMI56」の結果を報告する中で、明らかにした。(望月英梨)


クロピドグレルの反応性については、個人差があることが指摘されおり、効果が十分に得られない低反応性の患者がいることが知られている。その原因として、活性代謝酵素“CYP2C19”の遺伝子多型(*1/*1:正常、*1/*2(ヘテロ):中等度低下、*2/*2(ホモ):高度低下)があることが知られている。代謝活性が高度に低下している群では、残存血小板反応性が高くなり、イベントの発生リスクが増えることも指摘されている。


◎酵素活性正常は7割に


試験は、CYP2C19の酵素活性が大きく低下している患者に対し、クロピドグレルの維持用量を増量することで、血小板反応性が低下することを検討することを目的に実施された。
対象は、心筋梗塞またはPCIの施行から4週間~6カ月の安定冠動脈疾患患者で、通常用量のクロピドグレル75mgを服用している333例。2010年10月~11年9月までの1年間、アメリカ国内32施設から登録された。
このうち、酵素活性が正常だった(*1/*1)症例は、74%の247例、酵素活性が中等度低下していたのは24%(80例)、高度低下は1.8%(6例)だった。このうち、正常以外の86例をクロピドグレル低反応性キャリアと位置付けた。
酵素活性が正常群では、75mg投与、150mg投与(それぞれ、2ピリオド)、低反応性キャリア群では、75mg投与、150mg投与、225mg投与、300mg投与のそれぞれ4群に分け、約14日間、治療した。その後、VerifyNowによる血小板凝集抑制率、VASP(血管拡張薬刺激性リン蛋白質)を指標に、血小板機能検査を行い、血小板反応性を検討した。評価項目は、治療された患者(On-Treatment)のVASPによる血小板反応性指数(PRI)、VerifyNowによる血小板凝集率(PRU)とし、低反応性のカットオフ値は、PRU値230以上とした。


ベースライン時の平均PRI値は、正常群で57.5%[95%CI:55.1-59.9%]だったのに対し、中等度低下群では70.0%[66.0-74.0]、高度低下群では86.6%[80.7-92.5]で、いずれも有意に上昇していた(いずれも、p<0.001)。同様に、平均PRU値も正常群で163.6[154.4-173.9]だったのに対し、中等度低下群では225.6[207.7-243.3]、高度低下群では328.8 [247.9-409.7]で、いずれも有意に上昇していた(p<0.001)。


◎酵素活性中等度低下群に225mg投与でPRI値、PRU値は同等に


14日後の血小板反応性をみたところ、高度低下群で低反応性(PRU≧230)となったのは、75mg(通常用量)分で52%だったのに対し、150mg群では26%(p<0.001 vs75mg群)、225mg群で10%(p=0.002 vs 150mg群)、300mg群で10%(p=0.90 vs 225mg群)で、増量により有意に低下した(ptrend<0.001)。
中等度低下群に225mgを投与した際のPRI値は.0%[50.6-95.5]、PRU値は286.0[177.9-394.1]で、ともに、通常群に75mgを投与したのと同程度にまで低下することが分かった(PRI値:0.92 [90%CI:0.85-0.99]、PRU値:0.94 [0.84-1.04])。一方で、高度低下群では300mgを投与しても、PRI値が68.3%[44.9-91.6]、PRU値が287.0[170.2-403.8]にとどまった。


コンプライアンスは、75mg群(97.3%)、150mg群(98.1%)、225mg群(98.6%)、300mg群(98.3%)で大きな差はみられなかった。有害事象については、75mg群で12例、150群で10例、225mg群で2例、300mg群で6例で、死亡や脳血管イベント、TIMI基準による大出血、小出血は報告されなかった。


これらの結果からMega氏は、「安定冠動脈疾患患者において、CYP2C19*2ヘテロ遺伝子の患者(中等度低下群)に、維持用量を3倍投与することで、キャリアでない(正常群)に標準用量である75mg投与した場合と似通った血小板反応性に到達する」とした。一方で、「CYP2C19*2ホモ遺伝子の患者(高度低下群)では、300mgであっても最適な血小板活性を示すには至らなかった」との見解を示した。なお、同試験の結果は同日付の「JAMA」に掲載された。

 

 

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