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【SATURN試験のインパクト】金沢大・山岸氏「二次予防ではLDL-C値80mg/dL目指した積極的な治療を」

公開日時 2011/12/09 17:00

 

山岸正和氏

 

 

 

 

 

 

金沢大学医薬保健研究域・臓器機能制御学
循環器内科 教授 北陸ハートセンター長
山岸 正和 氏

 

 

SATURN試験は、強力なコレステロール低下作用を持つロスバスタチンとアトルバスタチンを直接比較したhead to headの大規模臨床試験です。これまでの臨床試験から、それぞれの薬剤の投与により、コレステロールが低下にともなって、冠動脈硬化の進行が抑制、あるいは退縮が促進されることが分かっていました。今回の試験は、どちらがその効果が強いか比較した試験です。


結果は、主要評価項目であるプラーク体積率(PAV)で、ロスバスタチン群とアトルバスタチン群の両群ともベースラインから有意な低下を示し、ロスバスタチンでやや低下率が高い傾向を示しましたが、統計学的な有意差はみられませんでした。一方、副次評価項目の総プラーク体積(TAV)については、ロスバスタチン群で有意に低下させる結果となりました。


試験開始前の予想として、LDL-Cの低下効果に加え、HDL-C上昇効果のあるロスバスタチンで、アトルバスタチンに比べ、より強い動脈硬化の退縮効果があるのではないかと期待されていましたので、結果は慎重に解釈すべきでしょう。HDL-C値がもともと高い家系では、動脈硬化進展が少ないことも報告されていますから、HDL-C値上昇効果にも期待が集まっていたわけです。

 

 

◎高用量投与にもかかわらず副作用は低率に


日本と欧米では用量が異なりますので、本試験の結果をそのまま日本人に当てはめることはできませんが、積極的な脂質低下療法の意義が再認識されたと考えていいかと思います。

一般的に、アトルバスタチンでは、欧米人の80mg投与と、日本人への20mg投与の効果が同等だと言われています。一方、ロスバスタチンでは、欧米人への40mg投与と、日本人への10~20mg投与が同等だと言われています。このようなことを勘案しますと、試験で到達したLDL-C値(アトルバスタチン群:70.2mg/dL、ロスバスタチン群:62.6mg/dL)は1つの指標になるかと思います。

日本動脈硬化学会がまとめた「動脈硬化性疾患予防ガイドライン(GL)」では、二次予防では、LDL-C値100mg/dLを目標とした積極的な治療が求められています。

日本人を対象にLDL-C値を低下させる意義を検証した試験としては、「JAPAN-ACS」や「COSMOS」などがあります。比較的安定期の冠動脈疾患を対象として実施されましたCOSMOS試験では、ロスバスタチンによりLDL-C値を82.9mg/dL(中央値78.5 mg/dL)に低下させ、結果としてTAVが5.1%低下しました。また、初期に積極的な治療を行い、プラークを退縮させることで、予後が良好であるとのデータもあります。COSMOS試験で得られた80mg/dLが、日本人での目標値としてふさわしいのではないか思います。

高用量を投与したにもかかわらず、アトルバスタチン群で肝機能値(ALT値)異常、ロスバスタチン群でタンパク尿が報告されていますが、両群ともに副作用が非常に少なかった点も非常に大きな意義があると思います。安全性からも、積極的な脂質低下療法を後押しする1つのエビデンスとなると考えています。

 

 

 

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