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摂食障害と医療保険

公開日時 2012/03/09 04:00

深刻な拒食症や過食症の患者には専用施設に滞在(入院)して24時間摂食行動をモニタリングする必要があるとされる場合が多い。だが、アメリカでは、時に一日1,000ドルにも達する施設滞在費用が「摂食障害のケースには適用されない」とする医療保険が多い。施設入所費用はいわゆる病院への入院費用より安いとはいえ、摂食障害のケースでは施設滞在が長く、数週間からときに数ヶ月に及ぶことも稀ではないからである。

最近になって、訴訟によって施設入所費用への保険からの支払い償還を勝ち取るケースが増え、注目されている。摂食障害も糖尿病等の慢性疾患と同等に取り扱われるべきだというのが裁判所の判断だ。ケースの一つはカルフォルにア州のブルーシールドを提訴した拒食症患者の例で、一審で原告が勝訴した。だが、ブルーシールドは即日控訴。最高裁まで争う構えである。ブルーシールドの主張は「摂食障害に対する支払いは天井知らずになる可能性が高く、この高額の負担をすべての請求ケースについて認めれば、医療保険料の大幅引き上げを余儀なくされる」というものだ。

保険会社の中には、医療施設であるナーシングホームに入所するのであれば、他の長期療養のケースと同様に100日までの滞在分だけは医療費の支払いを認めると主張するところもあるが、一般のナーシングホームでは、摂食障害患者に対する24時間/7日間体制のモニタリングは実施できず、実効ある専門治療はできないというのが患者側の主張だ。

摂食障害はあらゆる精神疾患のうちでもっとも死亡率の高い疾患である。現在、アメリカ国内には約1,100万人の摂食障害患者がいると推定されている。その大半は若い女性で、生命の危険のある深刻な拒食症または過食症である。

(医療ジャーナリスト 西村由美子)

 

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