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肺扁平上皮がん 75%が現在利用可能な薬剤でターゲティング可能

公開日時 2012/07/25 04:00

 

肺扁平上皮がん(SCLC)の総合的ゲノム解析の結果、複雑で独特なゲノム再配列が高頻度で起こっているものの、75%の患者の腫瘍が、現在臨床試験で利用可能な薬剤でのターゲティング可能であることが示唆された。米Washinghton〜Govindan氏が6月4日に開かれた「Lung Cancer−Non-small Cell Local-Regional/Small Cell/Other Thoracic  Cancers」で報告した。

 

 

 

 

SCLCは肺がんによる死亡件数の約30%を占めるが、分子遺伝学的データは殆どなく、同がんに特化する分子標的療法として承認された治療法は、これまでのところ存在しない。

 

SCLCのゲノムおよびエピゲノムでの特徴を調べるため、The Cancer Genome Atlas(TCGA)プロジェクトチームは、ステージI~IVのSCLC患者178例から採取した腫瘍サンプルについて、DNAコピー数のプロファイルとともに、エクソン領域の体細胞変異の検出とDNAとRNA、miRNAのシークエンシングを行い、またmRNA発現とプロモーターメチル化の定量化を行った。

 

患者は、年齢(中央値)は68歳、男性が74%、喫煙歴が全くない患者が4%だった。ステージIは55%、IIとIIIがそれぞれ21%を占めていた。解析の結果、178例のサンプルから4万8690の非サイレント変異が見つかり、腫瘍あたりの全変異は360、非サイレント変異は228だった。

 

 

 

 

 

CDKN2A、FGFR1、PTENなどが治療標的に

 

 

解析の結果、有意に変異していた遺伝子は、TP53とCDKN2A、PTEN、KEAP1、NFE2L2をはじめとする13種類だった。TP53は普遍的変異、CDKN2Aも顕著な変異を示したほか、NFE2L2/KEAP1とPI3K/AKTはそれぞれ、腫瘍の34%と44%で変異していた。

 

またSCLCでは、PTENの不活性(PI3Kの活性)が、変異や欠失、転座、メチル化と複数あり、ホスファターゼドメインの喪失を導いており、また頭頸部がんで見られるNOTCH遺伝子の機能喪失の反復も起こっていた。

 

腫瘍組織の72%で変異していたCDKN2Aでも、機能喪失のメカニズムに独自性があり、最も高頻度のメカニズムはホモ接合体欠失で30%、次いでメチル化21%、変異17%でとなっており、相補的に起こっていることもわかった。

 

mRNA発現解析では、クラシカルタイプが最も多く36%、ベイサルが25%、プリミティブが15%で、クラシカルタイプではPI3K過剰発現が多く、ベイサルではNF1損失が多いという特徴があった。

 

表解析からSCLCの治療標的と定義されたのは、CDKN2A(頻度72%)とFGFR1(25%)、PTEN(18%)、EGFR(10%)、PIK3CA(9%)など11種類だった(参照)。

 

以上の結果からGovindan氏は、「SCLCでは複雑で独特なゲノム再配列が高頻度で起こっている」とまとめた。またTP53の普遍的変異とCDKN2Aの高頻度の機能喪失が最も顕著な体細胞変異で、CDKN2Aの不活性化に複数のメカニズムが関与していることが特徴的だったとした上で、EGFRとPI3キナーゼ経路、EGFR/ERBB2、サイクリン/CDKなどの治療標的が、75%の患者において確認されたことも指摘した。

 

 

 

 

 

 

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