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ARISTOTLE アピキサバン ワルファリンへの非劣性示す

公開日時 2012/08/06 03:00

1つ以上の危険因子を持つ心房細動患者における脳卒中+全身性塞栓症の発生、大出血について、ファクターⅩa阻害剤・アピキサバンがワルファリンへの非劣性を示すことが分かった。脳卒中+全身性塞栓症は21%、大出血は31%抑制し、事前に設定された優越性のマージンも満たした。8月28日に開かれたHot Line Sessionで、米国・Duke Clinical Research InstituteのC.B.Granger氏が日本を含む39カ国で実施された同剤の臨床第3相試験(P3)「ARISTOTLE(Apixaban for Reduction in Stroke and Other Thromboembolic Events in Atrial Fibrillation)」の結果を報告する中で明らかにした。


試験は、脳卒中の危険因子を1つ以上もつ心房細動患者における、脳卒中(虚血性、出血性)発症抑制効果について、アピキサバンのワルファリンへの非劣性を示すことを目的として、日本を含む世界39カ国、1034施設で実施された。ダブルダミーによるランダム化二重盲検下比較試験。


対象は、①75歳以上②脳卒中、一過性脳虚血性発作(TIA)、全身性塞栓症(SE)の既往③心不全または左室駆出率(LVEF)≦40%④糖尿病⑤高血圧――のうち、少なくとも1つ以上満たす心房細動患者1万8201例。


①アピキサバン5mg1日2回群9120例②ワルファリン群(目標INR:2.0~3.0)9081例――の2群に分け、比較した。なお、日本人は336例含まれている。


主要評価項目は、脳卒中+全身性塞栓症の発生率。主要安全性評価項目は、ISTH基準による大出血。主要評価項目、主要安全性評価項目、総死亡については、非劣性を満たした場合、優越性についても検討した。登録期間は2006年12月~10年4月まで。追跡期間(中央値)は、1.8年間。

両群ともに年齢(中央値)は70歳、女性が35%だったほか、アジア・パシフィック地域は16%含まれていた。CHADS2スコアは1点以下が34%、2点が36%、3点以上が30%だった。薬剤の中止は、アピキサバン群で25.3%、ワルファリン群で27.5%だった(p=0.001)。INR至適範囲内時間(TTR)は66.0%(中央値)、62.2%(平均値)だった。


◎総死亡 11%有意に抑制



その結果、主要評価項目の発生率は、ワルファリン群の1.60%/年(265例)に対し、アピキサバン群で1.27%/年(212例)で、有意に21%低下した(ハザード比:0.79、[95%CI:0.66-0.95]、p=0.011、図1)。


内訳をみると、脳卒中(ワルファリン群:1.51%/年、アピキサバン群:1.19%/年、HR:0.79[0.65-0.95]、p=0.012)、総死亡(ワルファリン群:3.94%/年、アピキサバン群:3.52%/年、HR:0.89[0.80-0.998]、p=0.047)、脳卒中+全身性塞栓症+総死亡(ワルファリン群:5.04%/年、アピキサバン群:4.49%/年、HR:0.89[0.81-0.98]、p=0.019)で、いずれもアピキサバン群で有意に低下した。そのほか、心筋梗塞の発生率の上昇もみられなかった(ワルファリン群:0.61%/年、アピキサバン群:0.53%/年、HR:0.88[0.66-1.17]、p=0.37)。


一方、ISTH基準による大出血はワルファリン群の3.09%/年(462例)に対し、アピキサバン群の2.13%/年(327例)で、有意にアピキサバン群で低い発生率となり(HR:0.69、0.60-0.80、p<0.001)、31%のリスク低下がみられた(表1)。


内訳は、頭蓋内出血がワルファリン群の0.80%/年に対し、アピキサバン群で0.33%/年で、発生率が有意に低下した(HR:0.42、0.30-0.58、p<0.001)。また、消化管出血もワルファリン群の0.86%/年に対し、アピキサバン群で0.76%/年で、減少傾向をみせた(HR:0.89、0.70-1.15、p=0.37)。


また、ワルファリン投与の既往、年齢、性別、体重などに分け検討したサブグループ解析でも、同様の傾向を示した。


有害事象については、アピキサバン群(9088例)で81.5%(7406例)、ワルファリン群(9052例)で83.1%(7521例)だった。そのほか、肝機能検査値の上昇などもみられなかった。


結果を報告したGranger氏は、アピキサバンを1.8年間投与することで、ワルファリン群に比べ、1000人治療した際に脳卒中を6例(出血性:4例、虚血性/未分類:2例)、大出血を15例、死亡を8例予防すると同剤の有効性を強調。「心房細動患者において、脳卒中と全身性塞栓症を予防する上で、出血が少なく、死亡率を低下する結果を示したアピキサバンはワルファリンへの優越性を示した」と結論付けた。


同日に開かれた「CLINICAL TRIAL UPDATE」では、INR値に分けて有効性・安全性を比較したサブグループ解析からINR値によらず、一貫してアピキサバンの有用性が示されていることも報告された。結果を報告したスウェーデン・Uppsala University・Uppsala Clinical Research CenterのLars Wallentin氏は、「心房細動患者におけるワルファリン管理が行われた広範囲の治療よりも有効で安全である」と結論付けている。なお、同試験の結果は同日付の「The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE」に掲載された。

 

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