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サブグループ解析 ラクナ梗塞患者で高度に 軽度の認識機能障害を有する可能性

公開日時 2012/10/05 04:00

ラクナ梗塞患者では、身体機能障害の度合いに関わらず、軽度の認識機能障害を発生させている可能性が、SPS3試験の解析結果から明らかになった。エピソード記憶や実行機能などに顕著な障害がおき、これらの障害は加齢性白質変性との有意な関連性が認められた。カナダUniversity of British ColumbiaのNegar Asdaghi氏が5月24日、報告した。

 

ラクナ梗塞は認識機能障害と血管性認知症の主要因であるが、ラクナでの神経心理障害の疾患プロファイルは一般的な皮質下認知症とは一致しないことが知られている。研究グループは、ラクナ梗塞の大規模コホートとして神経心理障害の影響規模と特徴を解析した。


SPS3試験は、対象として、顕著な認識障害がないことを登録基準としている。皮質脳卒中と心原性疾患、頸動脈狭窄症の患者は除外した。


対象者は、登録後、1年ごとに、9種類のドメインから成る神経心理テストを受けた。今回の解析ではこれらの神経心理テストの結果から、英語をネイティブとする1,636例について、認識障害なし(NCI)と、軽度の認識障害あり(MCI)に分類し、認識機能との関連を調べた。


各神経心理テストのスコアは、テスト間に共通する標準スコアに変換され、−1.5を上回る場合を正常、−1.5以下を障害ありと定義した。NCIはどのドメインにも障害がない場合とし、MCIは少なくとも1つのドメインで−1.5以下となった場合とした。またMCIは特徴の違いから、健忘タイプ(MCIa)と多ドメイン(MCImd)、非健忘タイプ(MCIna)の3つに細かく分類した。

 


 

◎半数でMCIの規準満たす


NCIに分類された被験者は53%(861例)で、約半数が軽度の神経心理障害を有することが分かった。


MCIに分類された患者では、受けた教育年数が短いことや、黒人が多いほか、高血圧、糖尿病、脳卒中の既往が有意に高いことも分かった。また状態回復を示すmodified Rankin Scale(mRS)も、MCIの患者ほど有意にスコアが高かったが(p<0.001)、スコアが0または1の割合はMCIaでは66%、MCImdは48%、MCInaは64%で、症状に問題がない患者でもMCIである可能性が高いことも分かった。


年齢と性別、教育年数を調整した多変量解析の結果、MCIの予測因子とされたのは、脳卒中既往(オッズ比(OR):1.57、95%CI:1.12-2.20)と、mRS>0(OR:1.67、95%CI:1.24-2.26)、Barthel Index<95(OR:1.42、95%CI:1.07-1.89)だった。


また画像所見に基づく加齢性白質変性(ARWMC)も、MCIの患者は変性の度合いが有意に高く(p<0.001)、年齢と性別、教育、Rankin Scale、Barthel Indexを調整した多変量解析の結果、ORは、ARWMCの重症度が5〜8で1.5(1.2-1.9)、9以上で2.0(1.5-2.7)となった。


これらの結果からAsdaghi氏は、身体的障害がない患者においてもMCIは発現していることから、「実臨床において認識機能障害は見過ごされている可能性があり、ラクナ梗塞の予後と疾患管理において、認識機能障害は重要な役割を果たす可能性がある」と結論付けた。

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