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米国発 予防医学としての事故防止

公開日時 2012/12/06 04:00

シートベルトの着用はいまや世界の常識。今日、チャイルド・カー・シートを使わずに子どもを車に乗せる親はいない。だが、実は1980年代はじめまでの米国では、父親の運転する車に母親が赤ん坊を抱いて乗っているのが日常的な光景であった。(医療ジャーナリスト 西村由美子)


米国議会に働きかけて道路交通法を改正し、子どもにカー・シートの使用を義務づけた功労者はジョンズホプキンス医科大学のProf. Suzan Bakerである。議会への提言は交通事故の統計を詳細に分析し、低年齢児ほど死亡率が高いこと、とりわけ母親に抱かれた乳幼児の死亡率がきわめて高いことを実証した教授自身の研究が基盤になっている。実際、カー・シートの義務化により、子ども、とくに生後6ヶ月までの乳幼児の交通事故死亡率は激減した。


車に関して言えば、エアバッグの開発・実用化そして法的な義務化も教授の仕事なら、オートバイ乗車時のヘルメット着用の義務化も教授の仕事である。ヘルメットに関する法改正にあたっては全米のライダーから猛反対のブーイングを浴びた。だが、法医学研究所で連日オートバイによる事故死者の遺体を検証し、死亡原因、怪我の状況を徹底的に観察記録した実証研究を行った教授の確信は、ライダーの反対にもブーイングに揺るがなかった。実際、ヘルメット着用義務化後、ライダーの交通事故死は大幅に減少している。


Prof. Bakerは今年82歳。ジョンズホプキンス医科大学公衆衛生学大学院で教鞭をとりつつ、自ら創設した”Center for Injury Research and Policy”で50年以上にわたり事故リスクの軽減と事故死の予防を研究している現役の研究者だ。2010年には80歳で公衆衛生研究者に与えられる最高の栄誉と言われる the Frank A. Calderone Prizeを受賞した。


http://www.jhsph.edu/research/centers-and-institutes/johns-hopkins-center-for-injury-research-and-policy/


Prof. Bakerが事故死予防の研究に取り組み始めた1960年代には公衆衛生学研究の焦点は結核、肺炎、ポリオ等感染症予防であったから、Prof. Bakerの研究はなかなか理解されなかった。だが、Prof. Bakerの信念は当時も今も 「多くの命が不条理にも事故で失われている。だが、事故死は予防できるはず」。


米国のティーン・エイジャーの死亡原因の第一位は交通事故。交通事故統計を詳細に分析したProf. Bakerの研究によれば、ティーン・ドライバーは男女ともに免許取得直後にはスピード違反をしがちだ。女子は2-3年でこの傾向がおさまって安全運転に落ち着くが、男子は落ち着くのに女子よりも数年よぶんな時間がかるのが一般的な傾向だという。この研究結果から、Prof. Bakerは「男の子にはきっと嫌われると思うけど・・・」と前置きしつつ、免許取得可能年齢に男女差を設け、男子は女子よりも免許取得年齢を高くするのがよいのではないかと語っている。                                                                    

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