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【JCSリポート】リバーロキサバン特定使用成績調査 重大な出血は胃腸出血1例も体重未測定など課題も

公開日時 2013/03/18 08:00

第Ⅹa因子阻害薬・リバーロキサバンの特定使用成績調査の中間解析結果から、解析された133例のうち、出血性副作用は11例、重大な出血は胃腸出血の1例であることが分かった。一方で、体重測定やクレアチニンクリアランス測定がなされずに投与されている症例、クレアチニンクリアランス15~49mL/minの症例にも投与されている症例も含まれるなど、課題があることも浮き彫りになった。同剤の特定使用成績調査は、血栓症領域では国内最大規模で、登録は順調に進行しているという。3月15日〜17日、横浜市のパシフィコ横浜で開催された第77回日本循環器学会学術集会で15日に開かれたセッション「Late Breaking Cohort Studies1」で、国際医療福祉大学三田病院循環器内科の小川聡氏が報告した。
 

特定使用成績調査では、使用実態下における安全性・有効性情報を迅速に収集し、検討結果のフィードバックを適宜行うこととした。調査は、発売日の2012年4月18日に開始され、目標症例数は1万例、標準観察期間は2年(最長5年の予後調査を実施予定)とした。主な評価項目は、▽出血性副作用、特に高齢者、低体重、患者における発現状況▽有効性に関連する事象(虚血性脳卒中、出血性脳卒中、非中枢神経系塞栓症、心筋梗塞)の発現状況。2013年1月31日時点の登録症例数は3379例で、6カ月が経過時点での調査票(データ)入力済みの症例が133例だった。なお、登録は順調に推移しており、最終登録は2014年3月となる見込み。


登録患者3379例のうち、男性が59%(1978例)だった。新規投与症例は45%(1512例)で、前治療が「ワルファリン」が34%(1132例)、「ダビガトラン」が18%(622例)。登録施設のうち、「19床以下」は64%(2165例)、「20~299床以下」が25%(831例)、「300床以上」の大規模施設は11%(383例)だった。外来患者は87%(2955例)を占めた。年齢は平均73.6±9.8歳、中央値75(28-99)歳。70歳以上80歳未満が41.1%と最も多かった。体重測定は2914例に実施されており、平均59.8±12.4kg、中央値59.4(25.7~130.0)kg。


クレアチニンクリアランスが測定されていたのは2863例で、平均65.7±25.8 mL/min,中央値61(16-216)mL/min。リバーロキサバンの投与禁忌にあたる、高度腎機能障害(15mL/min以下)への投与はみられず、減量基準にあたる中等度腎障害(30~49mL/min)は21.9%(739例)、安全性が確立されていない15~30mL/minも2.3%(78例)認められた。また、「未確定」が15.3%(516例)だった。

合併症・既往は、高血圧が69.0%で最も高頻度で、脳卒中/一過性脳虚血発作(TIA)が24%だった。CHADS2スコアは2点が29.5%で最も多く、2点未満が35.1%だった。


◎小川氏「低リスク患者のエビデンス構築に期待」


すでにデータが収集された133例の観察期間6カ月での解析結果についても報告された。前治療が「ワルファリン」は41%(55例)、「ダビガトラン」は24%(32例)、「アスピリン」は11%(14例)だった。各薬剤の切り替えの理由として最も多かったのは、ワルファリンでは「INR不安定」(41例)、ダビガトランでは「患者希望」(11例)、アスピリンでは「効果不足」(10例)だった。


15mgが投与された60例のうち、クレアチニンクリアランス値30~49mL/minが4例だった。その一方で、10mgが投与された68例のうち、50mL/min以上が39例含まれていた。この理由として、「腎障害」(14例)、「出血リスクが高い」(14例)が挙げられていた。


出血性副作用は11例(8.27%)報告され、このうち重大な出血性副作用も1例(0.75%)含まれており、胃腸出血だった。重大でない出血は、歯肉出血、血便、痔出血、腸出血、肝障害、筋肉内出血、血尿、鼻出血、皮下出血だった。そのほか、死亡が2例報告されたが、敗血症と多臓器不全を合併した症例と、くも膜下出血だった。いずれも主治医によって、薬剤との因果関係が否定されているとした。


小川氏は、▽新規経口抗凝固薬について頭蓋内出血をはじめとした重篤な出血性副作用が報告され、適性使用が求められている▽承認・発売が海外とほぼ同等で、ドラッグ・ラグがなく、海外での使用経験や市販後の副作用情報が限定的であること、日本人への適切な投与量、患者選択については、臨床経験の蓄積と共有が急務である――と説明。「中間解析であり、今後のデータ集積によって、情報は変わりうる。しかし、特定使用成績調査データを公表し、共有することは、情報の透明性と適性使用推進の観点から、わが国の心房細動治療に有益と考える」と中間解析を報告することの意義を強調した。


その上で、高齢者が多く含まれていることを評価したほか、「リバーロキサバンは、低リスクから高リスクまで偏りなく使用されており、特定使用成績調査の結果から、数千例単位の日本人の低リスク患者(CHADS2スコア:0~1点)における新規経口抗凝固薬の安全性および有効性のデータが期待できる」と説明。「今後、実臨床におけるエビデンスが蓄積されることにより、抗凝固療法による心房細動患者の脳卒中予防がさらに普及されることを期待している」と述べた。
 

 

◎クレアチニン未確定 大半が体重未測定 
 

一方で、低体重症例、体重未測定の患者への投与が行われているという課題も浮き彫りになった。


体重が50kgを超えていた症例は65.7%で、慎重投与が求められる50kg未満の症例も20.5%存在した。小川氏は、処方段階でチェックシートによって50kg以下の低体重患者に注意するよう喚起しているにもかかわらず、体重を測定/記入していないものが13.8%に上っていたことを指摘し、今後の課題とした。


また、クレアチニンクリアランス値が未確定だった症例の大半が体重不明のための計算不能例であると説明。「安全性を担保する上で極めて重要な指標だ。クレアチニンクリアランスの把握と、そのための体重測定の徹底を再度、企業からも担当医師らに注意喚起するよう、現在指示している」とした。

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