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【ACCリポート】ATLAS ACS2-TIMI51サブグループ解析 リバーロキサバン 自発性心筋梗塞、大梗塞の発生抑制効果

公開日時 2013/03/21 08:00

リバーロキサバンが、急性冠症候群(ACS)発症後のイベントとして、自発性心筋梗塞、バイオマーカーの上昇を伴う梗塞サイズの大きな心筋梗塞の発生を有意に抑制することが明らかになった。ACS患者の二次予防において、標準療法にリバーロキサバンを追加投与する意義を検討する目的で実施された「ATLAS ACS 2-TIMI51((Anti-Xa Therapy to Lower Cardiovascular Events in Addition to Standard Therapy in Subjects with Acute Coronary Syndrome – Thrombolysis in Myocardial Infarction 51 )」の試験結果を、心筋梗塞のタイプ別に解析した結果から示された。3月9~11日の日程で開催された第62回米国心臓学会議(ACC.13)のセッション「ACS-New Agents and Approaches」で9日、Brigham and Women’s Hospital and Harvard Medical SchoolのMatthew A. Cavender氏が報告した。


試験は、ACS(ST上昇型心筋梗塞、非ST上昇型心筋梗塞、不安定狭心症)で入院後7日以内で、症状が安定している患者。日本人400例を含む44カ国、766施設から1万5526例が登録された。
①リバーロキサバン2.5mg1日2回投与群(以下、2.5mg群)5174例②リバーロキサバン5mg1日2回投与群(以下、5mg群)5176例③プラセボ群5176例――の3群に分け、治療効果を比較した。アスピリン75~100mg/日を全例に投与し、医師の裁量でチエノピリジン系抗血小板薬の併用を可能とした。


本試験の結果はすでに報告されており、低用量のリバーロキサバン追加投与が、致死的な出血性イベントを増加させることなく、心血管死、急性心筋梗塞、脳卒中の発生を16%抑制することが示されている(追跡期間平均13.1カ月)。


今回の解析の目的は、①イベントとして発生した心筋梗塞のタイプ別、サイズ別の頻度②リバーロキサバンの自発性心筋梗塞減少効果③治療と梗塞サイズの関連性——の3点を検討することとした。対象とした心筋梗塞は、既往の心筋梗塞とは関係なく生じた最初の心筋梗塞とし、タイプとサイズは、欧州心臓病学会(ESC)2012で提示されたユニバーサル定義に基づいて、臨床事象判定委員会が分類した。


発生した心筋梗塞のタイプは、タイプⅠ(自発性)が80.5%(535例)、タイプⅡ (二次性)23.5%(3例)、タイプⅢ(突然死)0.2%(1例)、タイプⅣa(経皮的冠動脈形成術(PCI)留置周囲)2.7%(18例)、タイプⅣb (ステント血栓症)12.8%(85例)タイプⅤ (冠動脈バイパス術(CABG)施行周囲) 0.5%(3例)だった。


Kaplan-Meier法を用いて、24カ月時点のタイプⅠの心筋梗塞発生率を解析した結果、プラセボ群5.7%、リバーロキサバン群(2.5mg群+5mg群)4.4%と、リバーロキサバンによって有意に抑制されていた(ハザード比(HR):0.80、95%CI:0.67-0.95、p=0.01)。リバーロキサバンの用量別にみると、2.5mg群で4.7%(HR:0.84、95%CI:0.68-1.02、 p=0.08)、5mg群で4.1%(HR:0.80、95%CI: 0.62-0.94、 p=0.01)だった。


他のタイプの発症率(プラセボ対リバーロキサバン)は、タイプⅡが0.2%対0.2%、タイプⅢが0.0%対0,03%、タイプⅣaが0.1%対0.1%、タイプⅣbが1.1%対0.7%、タイプⅤが0.0%対0.04%で、いずれも差がなかった。


バイオマーカーの上昇(ピーク値)から推定される梗塞サイズに分けた心筋梗塞発生率は、1~3×正常値上限(ULN)37%(242例)、3~5×ULNが11%(74例)、5~10×ULNが10.2%(68例)、10超×ULNが31%(207例)で、不明が11%(74例)だった。


梗塞サイズによるリバーロキサバンの効果は、1~3×ULNのHRが0.92(95%CI 0.70-1.19)、3~5×ULNのHRが0.65(95%CI 0.41-1.03)、5~10×ULNのHRが0.85(95%CI 0.52-1.40)、10超×ULNのHRが0.73(95%CI:0.55-0.96)と、大きな梗塞サイズに対して、高い効果を示す傾向があることが分かった。


>10×ULNで梗塞サイズが大きい症例へのリバーロキサバンの効果を用量別にみると、プラセボ群2.4%に対して、2.5mg群では1.8%(HR:0.75、95%CI :0.54-1.04、 p=0.08)と有意差は認められなかったが、5mg群では1.5%、(HR:0.71、95%CI:0.51-0.99、 p=0.04)と、有意な心筋梗塞抑制効果が認められた。


Cavender氏は、試験の限界として、発生頻度が非常に低い梗塞タイプもあったと指摘した上で、「リバーロキサバンは自発性心筋梗塞と、バイオマーカーの上昇を伴う梗塞サイズが大きい心筋梗塞の発生を有意に抑制することが示された」と結論づけた。


◎抗血小板2剤併用下でも有効性示す 大出血は増加も


抗血小板薬2剤併用下でのリバーロキサバン投与は、CABGに関連しないTIMI基準による大出血の増加はみられたものの、主要心血管イベントの発生を抑制したことも報告された。


ベースラインでは、アスピリン+チエノピリジン系薬剤の2剤併用は、1万4292例(93%)。治験薬の平均投与期間は13.11カ月、チエノピリジン系薬剤の平均投与期間は13.3カ月で、2剤併用中に発生したイベントを対象に解析した。なお、主要評価項目である心血管死+急性心筋梗塞+脳卒中のうち、84%が抗血小板薬2剤併用中に発生していた。


主要評価項目の発生率は、プラセボ群4758例で11.9%、リバーロキサバン(2.5mg+5mg)群9531例では8.6%で、リバーロキサバン群で有意に抑制されていた(HR:0.83、95%CI:0.72-0.95、p=0.007)。用量は、2.5mg群でHRが0.84(95%CI 0.71-0.98)、5mg群でHRが0.81(95%CI 0.69-0.96)だった。


心血管死は、リバーロキサバン群投与によるHRが0.78(95%CI:0.60-1.01) 、2.5mg群ではHRが0.63(95%CI:0.45-0.88)、5mg群ではHRが0.92(95%CI: 0.69-1.24)。心筋梗塞は、リバーロキサバン群投与によるHRが0.85(95%CI: 0.71-1.00)、2.5mg群でHRが0.89(95%CI 0.73-1.08)、5mg群でHRが0.81(95%CI:0.66-0.98)。


一方、出血はCABGに関連しないTIMI基準による大出血は、プラセボ群の0.64%に対し、リバーロキサバン2.5mg群で1.73%、5mgでは2.21%で、いずれの用量でも有意に増加していた(ともにp<0.001)。致死的出血は、プラセボ群0.26%に対し、2.5mgは0.14%、5mg群0.30%で、いずれも有意な増加はみられなかった(p=0.97、0.17)。


結果を報告したBrigham and Women’s Hospital and Harvard Medical SchoolのJessica L. Mega氏は、試験の限界として、新規抗血小板薬・プラスグレル、チカグレロルが投与された患者が含まれていないこと、抗血小板薬2剤併用療法が継続可能だった患者のみで解析されていることを挙げた。


その上で、リバーロキサバンが、致死的出血を増加させることなく、心血管死、心筋梗塞、脳卒中を有意に抑制したことの重要性を強調。「リバーロキサバンは、抗血小板薬2剤併用療法を継続中のACS患者において、心血管イベントを抑制する効果的な治療戦略になる可能性がある」と結論づけた。

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