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【AHA2013リポート】ALTAIR ロスバスタチン高用量投与 安定狭心症、無症候性心筋梗塞患者でプラーク退縮認める

公開日時 2013/12/03 07:00

小松誠氏脂質異常を伴う安定狭心症または無症候性心筋梗塞患者に対して、ロスバスタチン高用量投与による積極的脂質療法を行うことで、標準用量で認めたプラークの安定化に加え、プラークの退縮も認められることが分かった。前向きオープンラベルランダム化研究者盲検下並行群間比較試験「ALTAIR(Aggressive-Lipid-lowering Treatment Approaches for vulnerable plaque In coronary artery with Rosuvastatin)」の結果から示された。米国・ダラスで11月16~20日の日程で開催された米国心臓協会年次集会(AHA2013)で11月19日のポスターセッションで、尼崎中央病院心臓血管センター長の小松誠氏が発表した。

小松氏らは、臨床試験「TWINS」、「TOGETHAR」の結果から、アテローム性プラークの安定化と退縮の機序は異なると考えた。その上で、ロスバスタチンを用いた積極的な脂質低下療法の施行により、効果的なプラーク安定化と退縮が得られるとの仮説を立て、検証した。


対象は、年齢25~70歳の脂質異常を有する安定狭心症または無症候性心筋梗塞で、▽待機的PCIが予定されている▽LDL-C値≧100mg/dl▽グレード2以上の黄色プラークを有する―を満たす患者とした。24時間以内の急性冠症候群でPCIまたは冠動脈バイパス術(CABG)が必要だった患者や、高コレステロール血症、高トリグリセライド(TG)血症(≧400mg/dl)などの患者は除外した。


登録された56例を、▽ロスバスタチン高用量(20mg/日)群29例▽ロスバスタチン標準用量(2.5mg/日)群27例―の2群に無作為に割り付け、48週間治療を行った。血管内視鏡と血管超音波(IVUS)はベースライン時と投与開始48週時点に行い、黄色プラークの色調変化とプラークの退縮について検討した。
色調変化は、Angioscopy Color Scale(グレード0:白、1:黄色がかった、2:黄色、3:鮮やかな黄色)の4段階に層別化した。解析対象は高用量群24例、標準用量群24例。


患者背景は、年齢が高用量群66±10歳、低用量群64±8歳、BMIが24.6±3.4kg/m2、25.7±4.1kg/m2、高血圧の既往が88%、79%、狭心症の既往が67%、75%、心筋梗塞の既往が24%、24%、糖尿病の既往が46%、63%だった。


◎プラークの安定化 高用量、標準用量ともに有意に


48週間の治療の結果、黄色プラークは、高用量群で2.0±0.7から1.5±0.9、標準用量群では2.0±0.8から1.6±1.0で、ともに白色プラークに近づき、プラークの有意な安定化がみられた(p=0.0002、0.0011)。変化率は高用量群で-21.5±44.1%、標準用量群で-16.4±53.5%だった(p=0.7611)。

プラーク容量は、高用量群で56.5±34.2mm3→53.4±32.3mm3で、有意な退縮を示した(p=0.048)。一方で、標準用量群では58.1±33.5 mm3→59.3±31.7 mm3で、プラークの退縮はみられなかった(p=0.506)。


管腔容量は、高用量群(60.7±35.2→57.7±34.7mm3)、低用量群(68.4±35.6→69.4±33.7 mm3)で、両群ともに有意な変化はみられなかった(p=0.130、0.624)。

血管容積は高用量群117.2±61.9 mm3→110.8±60.9 mm3と有意に低下した(p=0.010)一方で、標準用量群では126.5±61.5 mm3→128.4±57.4mm3と変化がみられなかった(p=0.488)。

これらの指標の変化について高用量群と標準低用量群との間で違いがみられるか検討したところ、プラーク容量(高用量:-5.1±12.2%、3.8±12.8%、p=0.005)、管腔容量(-4.1±17.6%、5.8±20.0%、p=0.048)、血管容積(-5.5±10.7%、3.8±13.5%、p=0.005)のいずれも有意に高用量群で有意なプラークの進展抑制効果がみられた。


なお、LDL-C値は高用量群122.6±28.3mg/dL→61.3±17.8mg/dL(変化率-48.9±19.5%)、標準用量群125.8±27.8mg/dL→86.8±28.3mg/dL(変化率-31.0±20.7%)で、LDL-C値は高用量群で有意に低かった(p=0.0059)。


酸化LDLの1種で心血管疾患のリスクマーカーと報告されているマロンジアルデヒド修飾LDL(MDA-LDL)は、高用量群176.4±59.0U/L→95.5±19.7U/L(変化率-39.8±31.8%)、低用量群で167.8±54.9U/L→
135.6±40.7U/L(変化率-12.3±35.3%)で、48週におけるMDA-LDL-C値は高用量群で有意に低かった(p=0.0106)。HDL-C、TG、推定糸球体濾過量(eGFR)、hs-CRP、HbA1cは、両群ともに有意な変化は認められず、両群間の差もみられなかった。
 

◎小松氏「高用量でプラーク退縮も 積極的療法有効な患者像明確化を」


これらの結果から小松氏は、「ロスバスタチンの高用量、標準用量ともに、プラークの安定化は認められたが、高用量ではプラークの退縮についても示された」と結論づけた。その上で、「今後は、さらに積極的脂質低下療法の有効性を示す患者の特徴を明らかにしていきたい」と意欲もみせた。

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