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薬食審・第二部会 新薬など9成分を審議、承認了承 細胞培養H5N1新型インフルワクチンも

公開日時 2014/03/03 03:51

厚労省の薬食審医薬品第二部会は2月28日、新薬など9成分の承認の可否について審議し、承認を了承した。この中には、化血研と北里第一三共がそれぞれ承認申請した細胞培養によるH5N1新型インフルエンザワクチンが含まれる。

 

【審議品目】

部会で審議され、承認が了承された品目は次のとおり(カッコ内は成分名と申請会社名)。

 

▽乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチンH5N1筋注用「化血研」(同、化血研):「新型インフルエンザ(H5N1)の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。開発は国内のみ。

 

弱毒化したインフルエンザウイルス(H5N1株)をアヒル胚性幹細胞由来株化細胞で増殖させ、精製したウイルス粒子を不活化し、界面活性剤処理して得られた不活化スプリットインフルエンザウイルスを有効成分とする。接種時に免疫補助剤と用時混合する。

 

▽沈降細胞培養インフルエンザワクチンH5N1筋注30μg/mL「北里第一三共」、同60μg/mL、(同、北里第一三共ワクチン):「新型インフルエンザ(H5N1)の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。開発は国内のみ。

 

弱毒化したインフルエンザウイルス(H5N1株)をイヌ腎由来細胞で増殖させ、精製したウイルス粒子を不活化し、免疫補助剤として水酸化アルミニウムを添加した沈降全粒子ワクチン。

 

▽アラミスト点鼻液27.5μg56噴霧用(フルチカゾンフランカルボン酸エステル、グラクソ・スミスクライン):「アレルギー性鼻炎」の効能・効果について、小児用量を追加する新用量医薬品。再審査期間4年。小児の適応では、欧米のほか16か国以上の国や地域で承認済み。

 

抗炎症作用で鼻炎症状を抑える点鼻副腎皮質ステロイド。国内では09年に成人の適応で発売されている。小児では、通常1日1回各鼻腔に1噴霧する。

 

▽テノゼット錠300mg(テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩、グラクソ・スミスクライン):「B型肝炎ウイルス(HBV)の増殖を伴い肝機能の異常が確認されたB型慢性肝疾患におけるHBVの増殖抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間5年10か月。米国を含む109の国または地域で承認済み。

 

HBVが人の細胞内で増殖するのに必要な酵素の働きを阻害する。米ギリアドサイエンスが開発し、国内では04年にHIV‐1感染症の適応で日本たばこが承認を取得していた。GSKはHBV薬としてゼフィックス、ヘプセラを販売しており、テノゼットは3剤目にあたる。

 

▽ヴォトリエント錠200mg(パゾパニブ塩酸塩、グラクソ・スミスクライン):「根治切除不能または転移性の腎細胞がん」の効能・効果を追加する新効能医薬品。再審査期間5年10か月。この適応で欧米を含む58の国または地域で承認済み。

 

細胞の増殖・分化に関係するチロシンキナーゼなどを阻害し、腫瘍細胞の増殖を抑制する。国内では、悪性軟部腫瘍の適応で12年11月に発売された。腎細胞がんの適応を持つ類薬にはスーテント、インライタ(共にファイザー)がある。

 

▽ポテリジオ点滴静注20mg(モガムリズマブ遺伝子組換え、協和発酵キリン):「再発または難治性のCCR4陽性の末梢性T細胞リンパ腫、再発または難治性のCCR4陽性の皮膚T細胞性リンパ腫」の効能・効果を追加する新効能医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。海外未承認。

 

ヒト化抗CCR4モノクローナル抗体で、12年に再発または難治性のCCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫の適応で発売されている。

 

▽レスピア静注・経口液60mg(無水カフェイン、ノーベルファーマ):「早産・低出生体重児における原発性無呼吸(未熟児無呼吸発作)」を効能・効果とする新投与経路医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。欧州を含む38か国以上で承認済み。

 

早産・低出生体重児における原発性無呼吸では、短時間の呼吸停止でも徐脈やチアノーゼを伴うとされる。レスピアは、呼吸器の働きを担う中枢神経を刺激することで呼吸促進作用を示す。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で医療上の必要性が高いと判断され、日本ベーリンガーインゲルハイムに開発要請していた。同社とノーベルファーマが共同開発し、ノーベルファーマが申請していた。全例調査を実施する。

 

▽スミスリンローション5%(フェノトリン、クラシエ製薬):「疥癬」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間4年。海外未承認。

 

疥癬は、ダニが皮膚の角質層に寄生することでダニ自身やダニの排泄物に対するアレルギー反応による皮膚病変と掻痒が起こる皮膚感染症で推定患者数8~20万人。スミスリンローションは、ダニの神経を麻痺させて殺虫作用を示すピレスロイド系化合物。1週間隔で頸部以下の皮膚に塗布し、塗布後12時間以上経過した後にシャワーなどで洗浄する。同成分の低濃度(0.4%)製剤がシラミの駆除薬として一般用医薬品で販売されている

 

▽テビケイ錠50mg(ドルテグラビルナトリウム、ヴィーヴヘルスケア):「HIV感染症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。欧米で承認済みのほか、12か国で審査中。

 

HIVウイルスが増殖するのに必要な酵素(インテグラ―ゼ)を阻害する。類薬には、アイセントレス(MSD)やスタリビルド配合錠(鳥居薬品)がある。ヴィーブヘルスケアは、英GSKと米ファイザーが抗HIV薬に特化した企業として設立。テビケイは、塩野義製薬と同社が共同開発した。全例調査のほかインフォームドコンセントの取得、海外臨床試験成績の提出が条件付けられている。

 

【報告品目】

報告品目は、医薬品医療機器総合機構での審査段階で承認が了承され、部会への報告は不要と判断されたもの。

 

▽ゾラデックスLA10.8mgデポ(ゴセレリン酢酸塩、アストラゼネカ):「閉経前乳がん」の効能・効果を追加する新効能医薬品。再審査期間なし。前立腺がんの適応に追加された。

 

▽アフィニトール錠2.5mg、同5mg(エベロリムス、ノバルティスファーマ):「手術不能または再発乳がん」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(平成30年1月19日まで)。乳がんの適応で欧米を含む82の国や地域で承認済み。根治切除不能または転移性の腎細胞がんなどの適応に追加された。

 

▽ビームゲン、同注0.25mL、同注0.5mL(組換え沈降B型肝炎ワクチン酵母由来、化血研)/ヘプタバックス-II(同、MSD):「B型肝炎ウイルス母子感染の予防-抗HBs人免疫グロブリンとの併用-」の効能・効果について、用法・用量を変更する新用量医薬品。再審査期間なし。

 

これは、新生児への投与に関する用法・用量を追加するもの。母子感染によるB型肝炎ウイルス感染は容易にキャリア化することが知られ、早期の予防が重要とされるているが、現在の用法・用量では接種開始月齢は生後2カ月以降とされている。しかし、海外のガイドラインでは、生後直後(今回は12時間以内を目安)、生後1カ月及び生後6カ月に計3 回注射するのが標準的なスケジュールとされており、それに合わせて用法・用量を見直す。

 

変更する用法・用量については、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で公知申請が妥当と判断された製品であるため、特例により既に保険適用されている。

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