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TNFα阻害薬シムジア 日本人対象臨床第3相試験で早期RA患者の関節破壊進行抑制示す

公開日時 2014/06/23 03:49

日本人早期関節リウマチ(RA)患者におけるメトトレキサート(MTX)併用下でのTNFα阻害薬・セルトリズマブ ペゴル(製品名:シムジア)投与は、MTX単剤に比べ、有意な関節破壊抑制効果を示すことがわかった。日本人316例を対象とした同剤の二重盲検下比較多施設共同試験として実施された同剤の臨床第3相試験の結果から示された。同試験の結果については、6月11~14日までフランス・パリで開催された欧州リウマチ学会総会で結果が報告された。早期RA患者を対象に同剤の有効性を示したのは初めて。


RAの治療に際しては、早期に積極的な治療を行うことで、関節破壊の進行を食い止め、患者の予後を改善されることが期待されている。


試験は、骨破壊が進行していない早期RA患者において、MTX併用下でシムジアを投与することで、関節破壊の進行を抑制できるか検討する目的で実施された。


対象は、問診で症状発現から12か月以内で、持続的な関節炎症状を有すると認められた早期RA患者。▽2010年米国リウマチ学会(ACR)/欧州リウマチ学会(EULAR)基準でRAと診断された、▽中等度疾患活動性(DAS28(ESR)≥3.2)以上、▽予後不良因子(抗CCP抗体正常値の高値陽性+リウマトイド因子陽性 or 骨びらんあり)を有する――を満たすこととした。国内73施設から316例が登録され、セルトリズマブ ペゴル+MTX群(以下、セルトリズマブ ペゴル群)159例、プラセボ+MTX群(以下、MTX単剤群)157例の2群に分け、治療効果を比較した。いずれの群も、MTXは、安全性、忍容性に問題がなければ、国内承認の最大用量である16mgまで増量することとした。主要評価項目は、52週時点の関節破壊の程度を示すmodified Total Sharp(mTSS)スコアの変化量で、ANCOVA分析を用いて解析した。


ベースラインでの患者背景は、年齢がセルトリズマブ ペゴル群49.4歳、MTX単剤群49.0歳、症状発現からの期間は4.0か月、4.3か月、抗リウマチ薬(DMARDs)の既治療は19.5%(31例)、ステロイドによる既治療は16.4%(26例)、19.7%(31例)、リウマトイド因子陽性は96.2%(153例)、93.0%(146例)、骨びらんありは49.7%(79例)、51.0%(80例)、DAS28(ESR)の平均スコアは5.35、5.45、mTSSの平均スコアは5.16、5.95で大きな差は認められなかった。MTXの平均用量は11.62mg/週、11.61mg/週だった。52週まで治療を完遂できたのは、セルトリズマブ ペゴル群111例(69.8%)、MTX単剤群で73例(46.5%)だった。


主要評価項目の52週時点のmTSSスコアの変化量は、セルトリズマブ ペゴル群で0.36±2.70、MTX単剤群1.58±4.86でセルトリズマブ ペゴル群では有意な関節破壊の抑制効果が認められた(p<0.001)。24週時点でもセルトリズマブ ペゴル群で0.26、MTX単剤群で0.86で有意差が認められた(p=0.003)。52週時点で関節破壊の進行が認められなかった症例は、セルトリズマブ ペゴル群で82.9%、MTX単剤群で70.7%で、セルトリズマブ ペゴル群で有意に高率だった(p=0.011)。


◎治療開始1週目から効果発現


副次評価項目に設定された臨床的寛解は、24週時点でDAS28<2.6を満たした症例がセルトリズマブ ペゴル群52.8%、MTX単剤群30.6%、ACR/EULAR基準の疾患活動性をスコア化したSDAI≦3.3(=圧痛関節痛+腫脹関節数+患者による全般評価+医師による全般評価+CRP)では48.4%、29.3%、ACR/EULAR基準のBoolean法による寛解基準(圧痛関節痛1以下、腫脹関節数1以下、CRP1以下、患者全般評価1/10以下)では36.5%、22.3%で、いずれもシムジア+MTX併用群で有意に良好な結果となった(p<0.001、<0.001、0.007)。同様に52週時点で、DAS28<2.6を満たした症例がシムジア+MTX群57.2%、MTX単剤群36.9%、SDAI≦3.3では57.9%、33.8%、Boolean法では45.3%、28.0%で、いずれもシムジア+MTX併用群で有意に良好な結果となった(p<0.001、p<0.001、p=0.002)。


時間経過に応じて治療効果を検討したところ、セルトリズマブ ペゴル群は一貫してMTX単剤を上回る治療効果を示した。また、投与開始1週目の早期から効果発現がみられた。


一方で、有害事象については、セルトリズマブ ペゴル群で96.2%(153例)、MTX単剤群で94.3%(148例)、このうち、重篤な有害事象は8.2%(13例)、8.9%(14例)だった。死亡は認められなかった。



有害事象は、感染症が最も多く、セルトリズマブ ペゴル群で61.0%(97例)、MTX単剤群で55.4%(87例)、このうち重篤な感染症は3.1%(5例)、4.5%(7例)だった。肺炎は4.4%(7例)、5.1%(8例)、間質性肺炎は3.1%(5例)、0.6%(1例)、悪性腫瘍は0.6%(1例)、0%(0例)、肝障害は42.8%(68例)、43.9%(69例)、注射部位反応は3.1%(5例)、1.3%(2例)で、大きな差は認められず、また未知の有害事象も報告されなかった。


同剤は欧米では同適応での承認は取得しておらず、現在、欧米、オーストラリアで、DMARDs未治療の早期活動性成人RA患者を対象としたRA患者を対象とした臨床第3相試験が進行中。2016年にも結果が公表される予定という。
 

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