経口C肝薬ソバルディが売上ランクトップに 15年7~9月で432億円 IMSまとめ
公開日時 2015/11/11 03:52
IMSジャパンが11月10日に公表した日本の2015年第3四半期(7~9月)の医療用医薬品の薬価ベースの売上動向によると、経口C型肝炎治療薬ソバルディが432億9400万円を売り上げ、売上ランキングで一気にトップとなった。ソバルディは今年5月25日にギリアド・サイエンシズが新発売したジェノタイプ2型のC型肝炎に用いる治療薬で、発売4か月余りで売上ランクトップは国内最速とみられる。
文末の「関連ファイル」に15年7~9月の医薬品市場全体、上位10薬効、売上上位10製品の資料を掲載しました(11月13日まで無料公開、その後はプレミア会員限定コンテンツになります)。
ソバルディはインターフェロンを必要としない経口投与のみによる治療を可能にし、国内フェーズ3試験では投与12週目のウイルス消失率が90%以上(未治療患者97.6%、前治療のある患者94.7%)との結果だった。薬価算定においても高い有効性と安全性、臨床上の有用性が評価されて画期性加算の100%加算が認められ、薬価は1錠6万1799.30円(=1日薬価)と算定された。有用性が高い上、高薬価であることが今回の驚異的な立ち上がりの要因といえそうだ。
同じく経口C肝薬で14年9月に新発売したダクルインザは、15年7~9月は売上ランク10位圏外となった。IMSは売上上位10製品までしか売上を公表しておらず、第10位の持続型赤血球造血刺激因子製剤ネスプが売上173億7400万円だったため、ダクルインザの売上は173億円未満となる。ちなみに、ダクルインザは1~3月が売上161億円で第10位、4~6月が同203億円で第7位と売上及びランキングを上げていた。
■6月にGE参入のプラビックスは19.7%減収 第3位に
売上上位10製品をみると、ソバルディに次ぐ第2位は抗がん剤アバスチンで売上294億8900万円、前年同期比13.8%増だった。これまで通年及び四半期ごとでも売上第1位だった抗血小板薬プラビックスは、6月中旬にジェネリックが参入したことで売上252億8000万円、19.7%減となり、売上ランクは第3位に後退した。
4位以下は消化性潰瘍薬ネキシウム(237億2100万円、19.1%増)、抗リウマチ薬レミケード(221億400万円、2.0%減)、疼痛薬リリカ(217億9700万円、9.6%増)、降圧剤オルメテック(第一三共分、215億3500万円、4.1%減)、消炎鎮痛外用薬モーラス(久光製薬分、200億9800万円、4.1%減)、糖尿病薬ジャヌビア(188億4800万円、1.9%増)、ネスプ(173億7400万円、6.1%増)――だった。
■国内医療用医薬品市場は7.4%成長
15年7~9月の医療用医薬品市場は2兆5774億3200万円、前年同期比7.4%増となった。同年4~6月に続き7%超の成長となる。7~9月は特に病院市場の伸びが大きく、市場規模は1兆819億4900万円、12.5%増だった。開業医市場は5301億1800万円、4.0%増、主に調剤薬局をさす「薬局その他」市場は9653億6500万円、4.1%増――。市場別の構成比は病院市場42.0%(前年40.1%)、開業医市場20.6%(同21.3%)、薬局その他市場37.5%(同38.7%)となる。
■薬効内トップ 眼科用剤はアイリーアに 全身性抗菌薬はゾシンに
上位10薬効をみると、ソバルディやダクルインザといった新薬の登場により、全身性抗ウイルス薬が1122億3100万円、170.7%増と大きく伸び、第5位にランクインした。トップ3は、第1位が抗腫瘍薬2079億7300万円、10.3%増、第2位がレニン-アンジオテンシン(RA)系作用薬で1383億2500万円、6.4%減、第3位が糖尿病治療薬で1263億7400万円、6.8%増――だった。
抗がん剤はアバスチンをはじめとする分子標的薬が引き続き市場を牽引し、売上を伸ばした主な製品はアバスチンのほか、スプリセル(14.3%増)、タルセバ(11.2%増)、アブラキサン(102.0%増)となる。RA系作用薬はARBブロプレスが58.7%減、同ディオバンが36.9%減となるなどして市場自体もマイナス成長。糖尿病治療薬はDPP-4阻害薬のトラゼンタが13.5%増、テネリア第一三共分が66.1%増となる一方、グラクティブやネシーナが減収となった。
そのほか、薬効別で第9位の眼科用剤では薬効内トップがルセンティス(24.3%減)からアイリーア(71.5%増)に交代。第10位の全身性抗菌薬でも、薬効内トップがクラビット(36.6%減)に代わって、ゾシン(16.5%増)となった。