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キョーリン製薬・穂川社長 キプレス特許切れに「新薬で乗り越える」 喘息薬フルティフォームに注力

公開日時 2016/05/16 03:51

キョーリン製薬ホールディングスの穂川稔社長は5月13日に開いた新中期経営計画(16~19年度)の説明会で、連結売上の4割近くを占める気管支喘息・アレルギー性鼻炎用薬キプレス(一般名:モンテルカスト)が16年に特許切れを迎えることについて、「新薬の落ち込みは、新薬で乗り越えるしかない」と強調した。喘息治療薬フルティフォームや今後上市を目指す4製品の最大化に特に注力する。キプレスのオーソライズド・ジェネリック(AG)を通常の後発品(GE)に先んじて投入し、キプレスブランドとしてのシェア防衛、減収幅の抑制も図る。また、国が推進している「地域包括ケアシステム」に対応した営業活動が行えるよう、エリアマネジメントを軸にした営業体制の再構築も行う。

穂川社長はGE80%時代の到来もあり、「中期計画期間の最大の課題は、キプレスのパテントクリフをどう乗り越えるかだ」と述べた。ファーストインクラス薬の創薬力の強化、新薬群の普及・最大化などに取りくみ、“キプレスクリフ”を乗り越えて、連結売上の年平均成長率3%以上、営業利益率15%以上の達成を目指す。

■16年度に抗アレルギー薬デスロラタジン、18年度に経口抗菌薬、過活動膀胱治療薬を投入

キプレスの16年3月期(15年度)の売上は441億円(前期比6.9%増)で、連結売上の37%を占める。16年度の売上計画では、キプレスは売上333億円(前期比24.3%減)と設定した。減収額は108億円となる。

この減収を補うため、ICS/LABA配合薬フルティフォームは16年度に売上129億円(78.4%増、57億円増)を目指す。世界標準ではあるものの、日本ではまだ浸透していないデバイスである加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)の有用性や簡便性などを訴求する。穂川社長は「製品力はあり、(ICS/LABA配合薬市場で)シェア30%に向けて取り組む」と述べた。直近のシェアは8%超という。

また、16年度は抗アレルギー薬デスロラタジン(一般名)の発売を予定する。16年度の売上目標は19億円。同剤はMSDが15年10月に申請し、杏林製薬と共同販売する第2世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬。鎮静作用が弱いといった安全性に特徴があるとされる。

このほかに中期計画の期間中に上市を計画しているのは、18年度上市予定が▽経口のキノロン系合成抗菌薬ラスクフロキサシン(一般名)▽過活動膀胱治療薬の選択的β3アドレナリン受容体作動薬ビベグロン(一般名)、19年度上市予定▽注射のキノロン系合成抗菌薬ラスクフロキサシン――となる。デスロラタジン、ラスクフロキサシン、ビベグロンのいずれも100億円以上製品に育成する。

■キプレスAG 杏林MRも情報活動に参加

16年度はGE事業も大きく伸ばす。キプレスAGを含むGE事業の売上計画は215億円(39.0%増、60億円増)。穂川社長は、「AGを投入してキプレス減収の幾分かでも食い止めたい」と話した。

キョーリングループではキプレスAGの承認を取得しており、6月に予定する薬価追補収載を経て発売する。発売開始日は開示していないが、穂川社長はGEよりも先行発売すると語った。なお、GEは12月に登場する見込み。キプレスAGは▽AGであること(=先発品と同じ)▽GEに先んじた発売▽GE事業を展開するキョーリンリメディオだけでなく、キプレスを販売する杏林製薬も情報活動に参加するグループ全体での取り組み――により、キプレスAG・GE市場の50%以上のシェア獲得を目指す。リメディオと杏林が本格的に協同するのはキプレスAGが初となる。

杏林の梶野国雄・医薬営業本部長は説明会で、「市場からのジェネリックの要望がかなり多い」とし、杏林MRが先発品とAGを選択肢として持ち、情報活動できることは「大変いいやり方だと思っている」と述べた。

■呼吸器科、耳鼻科、泌尿器科を中心にエリアマネジメント推進

中期計画の期間中に営業体制も再構築する。梶野営業本部長は、地域包括ケアシステムを念頭に、「当然、エリアのことを一番よくわかっているのはエリアの担当者」と述べ、重点領域に位置付ける呼吸器科、耳鼻科、泌尿器科を中心とする定期訪問先でのエリアマネジメントがしっかり行えるよう体制整備する考えを示した。穂川社長も、「本社からパッケージとして施策は出すが、各エリアにあった選択ができるよう、柔軟性を持った取り組みができるようにする」と話した。

地域包括ケアシステムは、これまでの施設完結ではなく、地域完結で医療・介護・生活支援などを提供する仕組み。団塊世代が75歳以上となる25年を目途に、地域の特性や実情に基づきシステムを作り上げていく。新しい医療提供の流れになるといわれている。

なお、15年度の連結業績は売上、各利益とも過去最高となった。キプレスやフルティフォームの伸長のほか、主に好中球の遊走を抑制して抗炎症作用を示すFPR2作動薬の米ブリストル・マイヤーズ社へのライセンス供与に伴う契約一時金(約43億円)の受領が主因。

 

【15年度連結業績(前年同期比)16年度予想(前年同期比)】 
売上高  1194億8300万円 (5.6%増) 1200億円(0.4%増)
営業利益  196億3600万円 (33.2%増) 145億円(26.2%減)
純利益  136億3900万円 (13.1%増) 107億円(21.6%減)
 
【15年度の国内主要製品売上高(前年同期実績)16年度予想、億円】
キプレス 441(412)333
フルティフォーム 72(36)129
ウリトス(自社販売) 75(73)78
ムコダイン 130(140)108
ペンタサ 161(172)158
デスロラタジン -(-)19

ジェネリック計 155(155)215

 

 

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