杏林製薬・荻原社長 主力5製品「25年度に売上580億円目指す」 24年度決算は売上高過去最高で増収増益
公開日時 2025/05/14 04:50

杏林製薬の荻原豊代表取締役社長は5月13日、2025年3月期決算説明会で、主力品の伸長や自社創製品導出の契約一時金収入により、過去最高の売上高で増収増益となったと発表した。特に主力5製品(ベオーバ、ラスビック、リフヌア、デザレックス、フルティフォーム)の売上は541億円となり、荻原社長は「25年度には中計目標(560億円)を上回る580億円を目指していきたい」と期待を込めた。
24年度連結業績は、売上高は前期比8.8%増の1301億円、営業利益は同101.6%増の126億円だった。好調な推移の一方で、長期収載品は選定療養の影響を受けて減少。黒瀬保至取締役CFO & CStO経営企画部長は「キプレス、ムコダインの小児製剤で特に影響が大きく、製品別業績予想の下振れはほとんどが選定療養の影響だ」と述べた。
製品別でみると、過活動膀胱治療薬・ベオーバは順調に売上を伸ばし、拡大する市場の中でシェアを26.5%に広げた。ニューキノロン系抗菌薬・ラスビックはAMR対策により処方は抑制傾向にあるものの、コロナ禍後の受診行動の回復やマイコプラズマ肺炎の流行などがあり、計画を上回る伸長を見せた。難治性慢性咳嗽治療薬・リフヌアは25年4月の診療ガイドライン掲載を追い風にさらなる普及へ期待を込めた。
後発品医薬品では、追補収載品が寄与して売上を伸ばした。後発品のうち、オーソライズドジェネリック(AG)は選定療養の影響で数量は伸ばしたものの、薬価改定により売上は減少した。
◎25年度業績予想 減収減益見込みも「反動要因を除けば増収増益」
25年度の業績予想は導出に伴う契約一時金収入の反動減を織り込み、売上高が前期比2.4%減の1270億円、営業利益が同51.5%減の61億円とした。反動要因を除いた比較では「増収増益の見込み」(荻原社長)だという。選定療養の影響を受けた去痰薬・ムコダインは、「最低薬価の引き上げと増産による売上の伸長を予想している」とした。
◎バイエルから導入のOSA治療薬候補 「全世界で1000億円以上の売上目指す」
パイプラインでは、24年12月に独・バイエルとの間で同社創製品の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を対象疾患とするKRP-S124(開発コード)のライセンス契約を締結。26年度中のフェーズ2a試験に向けた準備を進めており、荻原社長は「全世界で1000億円以上の売上を目指し、サブライセンスアウトを含めてワールドワイドでの開発を進める」と述べた。
スイス・ノバルティスに導出した自社創製品のKPR-M223(開発コード)について、対象疾患とする慢性特発性蕁麻疹(CSU)は「原因不明の蕁麻疹で、全世界で4000万人以上が罹患している」として「現行治療で効果が得られない患者さんでも有効性が得られる可能性が高い」と期待を込めた。
【24年度連結業績(前年度比) 25年度予想(前年度比)】
売上高 1300億8700万円(8.8%増) 1270億円(2.7%減)
営業利益 125億6700万円(101.6%増) 61億円(51.5%減)
親会社帰属純利益 90億8600万円(66.0%増) 48億円(47.2%減)
【24年度の国内主要製品売上高(前年度実績) 25年度予想、億円】
ベオーバ 221(181) 251
ラスビック 78(49) 85
リフヌア 9(8) 11
デザレックス 96(89) 101
フルティフォーム 137(129) 132
ペンタサ 122(123) 116
キプレス 35(70) 21
ムコダイン 36(42) 52
ミルトン 18(19) 18
ルビスタ 11(15) 10
モンテルカスト錠「KM」 120(123) 113
モメタゾン点鼻液「杏林」 41(45) 43