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トランプ次期大統領 業界にとって敵か味方か

公開日時 2016/11/14 03:50

米大統領選は接戦の末、ドナルド・トランプ氏が次期大統領となることが決まったが、同氏のヘルスケア政策は業界にとってプラスとなるのか、マイナスとなるのか、選挙戦の同氏の発言や提言からはまだ見通せない部分が多い。米医薬専門メディアも、その辺を占うが、まだまだ展望が効かないだけに製薬業界では不安がいっぱいというのが現状のようだ。

トランプ氏は、いわゆるオバマケアである「Affordable Care Act」の撤回については、共和党の従来からの主張でもあり、選挙中も一貫して主張してきた。ACAを撤回し、より自由な保険市場を目指したい考えだ。

高薬価問題については、従来の共和党の主張とはちがい、対立候補だったクリントン氏と同じように、公的高齢者保険メディケアに価格交渉権を持たせることを訴えていた。この点が、製薬企業が懸念するところだが、トランプ氏自身はもともと高薬価問題への関心はそれほど高くないところを「人気取り政策」でこの案を打ち出したとも言われる。さらに同氏が提言しているのは、カナダなどから安価な医薬品の輸入を促進しようという提案である。ただ、クリントン氏のように厳しい薬価規制策や薬価チェック機構の設置などを提言していないことは業界にとって救いである。

製薬業界ばかりでなく、医療界も心配するのは、オバマ政権時代にスタートしたプロジェクトの行方である。例えば、ジョー・バイデン副大統領が主導してきた、がん撲滅運動Cancer Moonshot計画はまだ途上にあるが、この計画が、トランプ氏大統領就任後の4年間継続されるか定かではない。しかし、同計画の実務担当者Greg Simon氏は、同氏の40年にわたる政府での経験から超党派で支援のなかった計画に携わったことはないと政権党が代わっても問題ないと楽観視している(米議会専門誌「STAT」)。個別化医療推進計画であるプレシジョン・メディシン・イニシアチブの行方も気になるところである。米国が自ら国際競争力をそぐようなことはしないと思われるが、トランプ政権になって、どう転ぶかわからないところに恐ろしさがある。

いずれにしろ、米大統領は上院の承認を必要とするもののヘルスケア政策に関わりのある保健福祉省(HHS)、食品医薬品局(FDA)、国立衛生研究所(NIH)、メディケード&メディケア・サービス庁(CMMS)のトップ人事の任命権を持っているだけに、Cancer Moonshot計画を含め、ヘルスケア政策が大きく変わる可能性がある。(ヤマトファルマ・緑川労)

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