製薬協「難病・希少疾患に関する提言」 広告との誤認リスク高い疾患啓発のあり方を業界全体で見直しへ
公開日時 2026/02/09 04:52
日本製薬工業協会(製薬協)は2月6日、未診断疾患イニシアチブ(IRUD)、日本希少疾患コンソーシアム(RDCJ)と協働して作成した「医療従事者の困りごと調査を踏まえた難病・希少疾患に関する提言」を公表した。製薬業界が取り組むべき課題では、①情報提供活動の強化、②マススクリーニングの拡充、③研究開発の加速-をあげた。情報提供活動の強化については、疾患啓発が広告と誤認されるリスクが高いとし、「情報公開のあり方を業界全体で見直す」と提言した。研究開発の加速では、新規モダリティや国際共同治験に対応する治験・臨床試験実施体制や規制対応を進めるほか、革新的新薬を適切に評価する薬価制度の導入を求めた。
今回の提言は、2024年11月に公表した「希少疾患における医療従事者の困りごとに関する調査」の結果から明らかとなった課題について提言をまとめたもの。「情報提供の強化」をめぐる課題では、疾患啓発活動(医療従事者向け)の有効な実施主体に「製薬企業」が有効と回答する医療従事者が61.2%を占める一方で、「治療法が1つしかない場合、疾患啓発が広告と誤認されるリスクが高い」と指摘。また、「疾患啓発キャンペーンを行ってもニュースや新聞、テレビ番組で取り上げられる機会が少ないため、広く認知されにくい」とし、これまでも製薬協・難病希少疾患タスクフォースを通じて製薬協のホームページでの情報の集約・発信、Rare Disease Day シンポジウムの共催などに努めてきたと紹介した。
◎疾患啓発と広告の境界を明確に コンプライアンスを守りながら疾患啓発活動を推進
その上で疾患啓発に関する情報提供の提言では、「医療従事者からの情報提供を補完する役割を担う製薬企業が、医療従事者と患者や家族の希少疾患に関わる認知・理解を高めることで、ステークホルダー間の認識ギャップの解消や協働の加速に可能な限り貢献していく」と明記。情報公開のあり方を業界全体で見直すほか、「疾患啓発と広告の境界を明確にし、製薬企業が関連規制を正しく理解できるよう支援することで、コンプライアンスを守りながら円滑な疾患啓発活動を推進する環境を整える」との方針を示した。また、RDD Japanと共催で毎年2月に Rare Disease Day シンポジウムを継続的に開催するなどの例示を示した。
◎新生児マススクリーニングの拡充を重点課題として位置づけ
マススクリーニングの拡充に関しては、脂肪酸代謝異常症の一種である CPT2 欠損症が新たに追加されたほか、重症複合免疫不全症(SCID)や脊髄性筋萎縮症(SMA)などに有効な治療薬が登場していると指摘。「製薬協は、希少疾患の早期診断体制の強化に向けて、新生児マススクリーニングの拡充を政策提言 2025 の重点課題として位置づける」とした。
◎研究開発の加速 イノベーションの価値が適切に評価される薬価制度にも言及
難病・希少疾患治療薬の研究開発加速に関する課題と提言では、レジストリの整備・活用のさらなる充実、患者への治験・臨床試験アクセス向上の推進、新規モダリティや国際共同治験に対応する治験・臨床試験実施体制などを強調。「海外のスタートアップ企業を含む多様な事業者が日本で治験・臨床試験を実施しやすい環境を整備することも重要」との見解を示した。
このほか、イノベーションの価値が適切に評価される薬価制度にも触れ、「新規モダリティなどの革新的新薬の価値をより適切に評価できる新たな仕組み」を提言した。また、革新的新薬の薬価がシンプルに維持されるカテゴリー別薬価改定や市場拡大再算定の見直し、保険収載後に追加エビデンスが得られた段階で治療薬の価値を再評価できる新たな仕組みにも言及した。