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健保連 20年度診療報酬改定に「生活習慣病のフォーミュラリ盛り込むべき」 ARB・DPP-4など問題視

公開日時 2019/08/26 03:52
健康保険組合連合会(健保連)は8月23日、2020年度診療報酬改定に向けた政策提言を発表し、診療報酬体系に「生活習慣病治療薬のフォーミュラリを盛り込むべき」と主張した。特に、降圧薬・ARB、糖尿病治療薬・DPP-4阻害薬の先発品がシェアトップに立っている現状を問題視。生活習慣病治療薬について後発品処方の原則化することを求めた。健保連のレセプトデータを活用した試算では、年間約3100億円の薬剤費抑制効果があるとのデータも示した。フォーミュラリをめぐっては、2020年度診療報酬改定に向けた検討項目にあがり、中医協総会でも議論になっているところで、今後の議論が注目される。このほか、給付と負担の議論の本格化が見込まれるなかで、花粉症治療薬について保険給付の見直しを提言した。

健保連は提言に際し、2016~18年度のレセプトデータ(16年度:7075 万件、17 年度:1憶3823 万件、18 年度:6639 万件)を分析。その結果に基づいて政策提言を行った。

◎生活習慣病フォーミュラリで後発品切り替え 薬剤費抑制効果は年間約3100億円

フォーミュラリについては、医師が生活習慣病治療薬を処方する際に、禁忌などの患者を除き原則として策定されたフォーミュラリで最も推奨された医薬品を推奨することを提案した。医師が患者特性などで、第一推奨薬以外の処方を行う場合にはレセプトの摘要欄に記載することを求めた。例としながら、特掲診療料第5部「投薬」の通則等で生活習慣病治療薬のフォーミュラリを規定することまで踏み込んで提案した。

健保連は、実際に診療報酬に組み込むことを想定したフォーミュラリ案を策定。第一推奨薬は、後発品を原則とし、診療ガイドラインの記述上、有効性や安全性に大きな優劣が見られ ない薬剤については、より安価な薬剤を優先した。具体的には、降圧薬ではCa拮抗薬、利尿薬、ARB、ACE阻害薬の後発品をファーストステップとした。脂質異常症ではスタチンの後発品、糖尿病治療薬ではビグアナイド(BG)薬(メトホルミン)の後発品をファーストステップとすることを提案した。

2016年度のNDBデータによると、降圧薬のARB・アジルバ、DPP-4阻害薬のジャヌビア、トラゼンタなど先発品が上位に顔を揃えていると指摘した。そのうえで、フォーミュラリの活用で後発品に切り替わることで、全国で年間3141億円の薬剤費抑制効果があるとの推計を発表した。内訳は、降圧薬で1794億円、脂質異常症治療薬では765億円、糖尿病治療薬では582億円。

さらに、中長期的には薬剤の費用を加味した診療ガイドラインの作成を促すよう環境整備を進めることも訴えた。

◎花粉症治療薬 OTC類似薬「保険適用からの除外や自己負担引き上げを」


花粉症治療薬の保険適用については、いわゆるOTC類似薬全般について、「保険適用からの除外や自己負担率の引き上げを進めるべき」と提案した。まずは、OTC類似薬を一つのクラスの薬剤のみ処方されている場合は「原則、保険適用から外すべき」とした。スイッチOTCを使用してセルフメディケーションで対応する人との整合性を取る必要性があるとの考え。なお、スイッチOTCを購入する場合と、医療保険でOTC類似薬を処方され際の自己負担額には大きな差はないことを指摘した。ただ、医師が疾患特性などで、医療保険上の対応が必要であると判断した場合には理由を処方箋、診療報酬明細書に明記することで活用を認めることも提案した。OTC類似薬の保険適用範囲を見直すことにより、全国で年間最大約600億円の薬剤費抑制効果があるとの推計も示した。

◎リフィル処方「かかりつけ薬剤師に限定で導入検討を」


2018年度診療報酬改定で盛り込まれた、分割調剤については0.1%未満と活用されていない状況であることも指摘。病状が安定した患者に対して、かかりつけ薬剤師に限定した形でリフィル処方を診療報酬に導入することを提案した、また調剤報酬については、調剤基本料・薬剤服用管理指導料について、地域医療への貢献の実績に応じた評価を行うほか、薬歴管理・指導が必要な患者を明確化できるよう、現行の算定要件見直しを訴えた。医薬医療機器等法(薬機法)の改正が迫るなかで、中長期的には、「薬局の機能類型に対応した調剤報酬体系 へと再編すべき」とも指摘した。

このほか、かかりつけ医機能を強化する目的で18年度改定において新設された機能強化加算について実態とかい離があることも指摘。患者の約6割は受診回数が1回のみで再診がなかったほか、継続的な管理の必要な高血圧や糖尿病、脂質異常症などは全体の5%未満であるとのデータを示した。そのうえで、「生活習慣病等の慢性疾患を有する継続的な管理が必要な患者に対 象を限定するなど、現行の算定要件を見直すべき」と指摘した。

健保連が政策立案を提案したのは、①、機能強化加算のあり方についての検討、②生活習慣病治療薬の適正な選択(フォーミュラリ)の導入に向けた検討、③繰り返し利用可能な処方箋(リフィル処方)の導入に向けた検討、④調剤報酬のあり方についての検討、⑤花粉症治療薬の保険適用範囲―の5項目。
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