MR認定センター・田中専務 「MRによる口頭での不適切事例」に警鐘 ‟救うのは皆さんだ!“
公開日時 2019/10/17 03:52
MR認定センターの田中徳雄専務理事は10月16日、東京都内で開催した2019年度教育研修管理者認定更新講習会で講演し、「引き続きMRによる口頭での不適切な事例が散見される」と警鐘を鳴らした。製薬業界は、厚労省の販売情報提供活動ガイドライン施行を受けて社内体制の整備やガバナンスの強化などに動き出しているところ。ただ、田中専務は現状認識として「収まる気配がない。どうやったらなくなるのか?」と参加者に訴え、「その場だけ、売上だけ、自分だけ、こんな都合のよい活動はあり得ない。各社徹底してください。MRを救うのは皆さんだ!」と強調し、業界一丸となってこの問題に取り組む必要性を強調した。
◎「販売促進」-25年たったいまも学習できていないとの誤解も
田中専務は、1993年の厚労省「21世紀の医薬品のあり方に関する懇談会」の最終報告に明記された「3つの決め事」に触れた。最終報告には、①プロパーの呼称をMRとする、②「販売促進」という言葉は使わず「適正使用」に変える、③患者から製薬企業が直接問い合わせできる相談窓口を設ける-が記載されている。田中専務は「特に販売促進については、それから25年たったいまでも、なにも学習できていないのではないかというような誤解を持たれている」と指摘。2013年に製薬協が策定したコード・オブ・プラクティス(COP)において、「プロモーションとは、いわゆる販売促進でなく、医療関係者に医薬情報を、‟提供・収集・伝達“し、それに基づき医療用医薬品の適正な使用と普及を図ることを言う」と定義したことを改めて提示し、製薬業界のスタンスは一切揺らいでいないことを強調した。
加えて「最近ではMA、MSLが医療機関で活動しているが、その内容が‟提供、収集、伝達“という活動であれば、これを遵守するよう求めている」と述べ、例外なくCOPに該当することを強調した。
◎「MR認定証とMRバッチ」を身につける
厚労省の広告活動監視モニター事業を振り返りながら、過去3回の報告書からは、事実誤認の恐れのある表現、誇大な表現、承認範囲を超える表現などが過去に指摘されたと説明した。さらに企業の説明会におけるデータの持ち帰りやMRの口頭説明による不適切事例が過去に指摘されながら、「いまだにギリギリ適応内だとMRが説明している」といった事例があることに苦言を呈した。その上でMRのさらなる資質の向上という点ではMR認定センターの発行する「MR認定証」と「MRバッチ」をMRが身につけ、胸を張って医療機関を訪問して欲しいと強調。「適応外とかなんとか言ってるんじゃなくて、MRとして認められた情報の提供であれば胸を張って行って欲しい」とエールを送った。一方、教育研修管理者に対して、「しっかり教育をしているMRにバッジを携帯させて欲しい」と呼びかけた。