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政府・全世代型社会保障 一定所得以上の後期高齢者の窓口負担2割 OTC類似薬は政府内で20年夏までに方向性

公開日時 2019/12/20 04:53
政府の全世代型社会保障検討会議は12月19日、中間報告を取りまとめた。焦点となった75歳以上の後期高齢者の医療費の窓口負担については、原則1割から一定所得以上であれば2割負担とすることを明記した。外来受診時に患者が“ワンコイン”を負担する「受診時定額負担」については記載を見送ったが、紹介状がない患者が大病院を外来受診した場合には患者負担を求める選定療養の範囲を200床以上の一般病院に拡大する。このほか、議題にあがっていた「OTC類似薬の給付範囲の見直し」は記載を見送ったが、経済財政諮問会議や規制改革推進会議をはじめ、関係審議会で議論し、2020年夏までには一定の方向性を示す方針だ。

議論の背景には、急速に進む少子高齢化がある。特に団塊世代が後期高齢者に突入する2022年度までの改革は必須で、待ったなしのタイミングと言える。政府は今後22年度までの制度改正を目指し、年明けにも制度の詳細を詰める本格的な議論に着手する。

◎与党案に比べて一歩踏み込んだ「中間報告」の書きぶり

後期高齢者の窓口負担は、高齢者であっても「一定所得以上の方については、その医療費の窓口負担を2割とし、それ以外の方については1割とする」と明記した。日本医師会などが拙速な議論をしないよう求めるなかで、自民・公明両党は中間報告に“2割”と明記することを見送った。これに対し政府の中間報告は応能負担の考え方を取り入れながらも、具体的な「負担率」を明記するなど一歩踏み込んだ書きぶりとなった。

ただし、高齢者は複数の疾患を抱えており、長期にわたり頻繁に受診が必要であるため、結果的に窓口負担が現役世代と変わらないとの声が公明党内などで根強いことを考慮。疾病や生活状況などの実態を踏まえ、高齢者の生活に与える影響を見極め、適切な配慮をすることなどを求めている。なお、政府が自民党に示したデータでは、関節症(ひざの痛みなど)や高血圧性疾患の外来受診時では窓口負担が倍になるが、骨折や悪性新生物による入院などでは窓口負担は変化しないなどとしている。

◎「外来受診時定額負担」は記載見送り 紹介状なし受診時の選定療養拡大で対応

日本医師会など医療関係団体が強く反対していた「外来受診時定額負担」については、患者によらず一律にワンコイン(100円)の負担を求めることを見送り、大病院受診時の選定療養の拡大の導入で決着した。他の医療機関からの文書による紹介がない患者が大病院を受診した際に患者に定額負担を求めるもので、現行制度では、特定機能病院及び許可病床400床以上の地域医療支援病院に導入されている。初診時5000円、再診時2500円(医科の場合)を負担する。この対象病院を「病床数200床以上の一般病院に拡大する」というもの。すでに、20年度診療報酬改定をめぐる中医協の議論では、200床以上の「地域医療支援病院」に拡大することに診療・支払各側が了承しており、この範囲をさらに一般病院まで拡大することを検討する。病院勤務医の働き方改革の必要性も指摘されるなかで、地域医療の現場で、診療所のかかりつけ医機能を高め、大病院・中小病院・診療所の外来機能を明確化し、医療機関同士の連携を促す考えだ。

健保法改正の附則に明記された「将来にわたり保険給付の割合を70/100を維持する」ことを「堅持」することも明記した。選定療養の拡大に位置付けることで、国民の医療へのアクセスを阻害せずに、いまだ大病院志向の強い患者の選択肢を拡大する狙いがある。

◎OTC類似薬の給付範囲見直し 中間報告に記載せずも政府部内で検討継続

一方で、「OTC類似薬の給付範囲の見直し」は記載を見送った。ただ、同日開催された経済財政諮問会議で決定された「新経済・財政再生計画 改革工程表」には、20年度中に「薬剤自己負担の引上げについて幅広い視点から関係審議会において検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずる」ことが盛り込まれた(関連記事)。前日に開かれた規制改革推進会議の医療・介護ワーキング・グループは12月18日、「保険外医薬品(スイッチOTC等)選択肢の拡大」をテーマにあげる。改革工程表に明記されたことで、経済財政諮問会議に舞台を移し、議論が進むこととなりそうだ。

OTC類似薬の対応について政府関係者は、「今後もやっていくということに変わりはない」と指摘。「診療報酬改定のたびに個別の医薬品について議論してきた。薬剤一つひとつの取り扱いを、わざわざ全世代型社会保障検討会議で行うか、ということ」と説明した。これまでの診療報酬改定をめぐる中医協での議論でも、ビタミン剤、うがい薬、湿布薬など、個別品目にメスが入っている。先述の政府関係者は、「今回の中間報告は大きな方向性を議論する場で議論することではない。今後、諮問会議や関係審議会が厚労省を含め、検討する方針に変わりはない」と釘を刺した。財務省の財政制度等審議会は、フランスのような薬剤の種類に応じて自己負担を設定することなども提案するが、「個々の医薬品の状態について議論せざるを得ない」との認識を示した。

◎日医・横倉会長が会見 「国民皆保険の理念が守られた」

日本医師会の横倉義武会長はこの日の定例会見で、全世代型社会保障検討会議の中間報告についてコメントした。横倉会長は、「自民、公明の提言より少し踏み込んでいる点に懸念いる」としながらも、「日医の政府与党への国民医療を守る観点からの提言により、国民皆保険の理念が守られた内容となった」と述べた。

横倉会長はまた、「全世代型社会保障検討会議は将来の社会保障のあり方を大所高所から議論すべきで、目先の財源にとらわれた細かい議論をすべきものではない」と強調。「社会保障は自助共助公助で成り立っていることから、それぞれのバランスとりながら、時代に対応できる給付と負担のあり方という視点にたって議論することが重要だと思う」との見解を示した。


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