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MR意識調査2020年版 MR全員が産業構造の変化を意識 管理職の感度高まる

公開日時 2020/03/03 04:53
ミクス編集部は現役MR(有効回答・営業管理職を含む288人)を対象に意識調査を行った。厚労省の「販売情報提供活動ガイドライン(GL)」の施行や、製薬各社による早期退職優遇制度の導入など、MRを取り巻く環境は近年に増して変化の波が高まっている。特に、販売情報提供活動GL施行に伴い、社内ルールの徹底や各種研修などに見えないGLの圧力が加わっているように感じる。一方で外部環境の面からは、政府の薬剤費抑制に伴う企業の収益構造の変化がMRレベルにまで浸透し、結果として早期退職制度の導入や人事制度の見直し、営業拠点の見直しなどに及んでいることを感じさせた。役職、年齢、担当に限らず、MRのほぼ全員が製薬産業を取り巻く環境変化を強く意識しだしたことを浮かび上がらせる結果となった。

(調査の詳細はMonthlyミクス3月号の誌面にてご確認ください。有料会員に限り、全ての調査データがダウンロードできます)

◎1日当たり平均面談医師数は6.71人

MR意識調査から基礎データをご紹介したい。最近1か月間で通常のディテーリング活動を行った活動日のうち、1日あたりに訪問した平均医師数は平均6.71人となった。ただ調査結果には2つの山がある。一つ目の山は、「医師5人」で全体の28.1%を占め、最も高率だった。2つ目の山は、「医師10人以上」で16.7%だった。

1人当たりの面談時間については、「5~10分未満」が46.2%で最も高く、次いで「10分以上」が30.6%を占める。MRの担当別にみると、大学病院、大病院担当の担当MRは10分以上の時間を割いて面談しているのに対し、中小病院・開業医担当のMRは「5~10分未満」の割合が高い。逆に、「3分未満」はいずれも6%未満だった。

◎自身の変化「MR数減った」61%

MR活動を取り巻く環境変化についてたずねた。実際に自分自身に起きた変化のトップは、厚労省の「販売情報提供活動GL」の施行によりプロモーションのあり方が徹底されるようになったということ。全体では75%のMRがそう答えている。次いで「未承認薬・適応外薬の情報提供について社内ルールが徹底された」との回答が74%を占め、第2位にランクされた。3位には「MR数が減った」が入った。回答は全体で61%。次いで「人事評価制度が変更された」(52.4%)、「営業所・支店が統廃合された」(51.4%)、「経費が減った」(50%)、「早期退職制度が導入された」(45.8%)となる。3位以降のこうした項目を見ると、MR数削減や営業コスト見直しなど、昨今の製薬業界が抱える課題を浮かび上がらせている。

◎評価項目 個人目標より「チーム目標」

こうした外部環境を踏まえ、MR活動はどう変化しているのだろうか。MR活動の評価項目として最近ウエイトが高まっている項目について聞いた。第1位は「販売情報提供活動GL」の遵守に関するもので、回答の84.4%を占めた。担当別にみても、大学病院、大病院、中小病院・開業医のそれぞれを担当するMRともにほぼ同率を回答するなど、MR自身がGLを意識した活動に徹している状況がうかがえる。

第2位には「チームでの売上目標達成」がランクされた。全体の回答率は35.1%。逆に「個人での売上目標達成」は31.3%で第4位にランクされた。かつてのMR評価は個人目標という時代もあったが、最近はエリア戦略を重視する製薬企業も増えており、むしろ地域完結型医療や多職種連携をサポートするMR活動が重視されるようになってきた。

◎外部の環境変化に敏感な営業管理職 

MRは医療現場の変化をどう見ているのだろうか。MR、チームリーダー、営業管理職の眼を通じて見える「医療現場の抱える課題」について分析した。課題のトップは「医師が診療で忙しい」が全体で74.0%。役職別でみると、現場MRが77.6%で管理職と6.8ポイント上回っていた。すでに分析したように医療機関の訪問規制は強化されており、MRも面談機会を作るのに相当苦労していることが分かる。

逆に営業管理職が他の役職者より高く出たのが「インターネットなどでMR不在の情報収集体制が進んでいる」と回答したもの。全体の回答率45.5%に対し、営業管理職は52.1%と6.6ポイントも高めにでた。このほか「在宅医療への対応」は、営業管理職の41.7%に対し、MRは30.7%、チームリーダーは25.0%と、その意識の差は拡がっている。在宅医療への足場づくりは今後の地域エリア戦略を考える上で重要な要素となる。国が地域医療構想の実現にアクセルを踏む中で、営業管理職に戦略の裁量権を持たせる動きも活発化しており、こうした背景が今回の調査結果にも反映された格好だ。

チームリーダーから見た医療現場の変化としては、「若手医師への教育体制の確保」や「医療機能の転換(急性期から回復期など)に悩んでいる」といった項目で高率な回答があった。チームリーダーの場合、テリトリー全体の変化を掴む必要がある。このため担当エリアの施設動向や病院の人事などに目配せし、必要に応じて、担当MR間をつなぐ役割も任されることが多い。最近はキーアカウントマネージャー(KAM)のような役割を担い、地域のステークホルダーとのタッチポイントを作る仕事なども手掛けている。

これまで医療現場の抱える課題を見てきたが、こうした変化に対し、MR、チームリーダー、営業管理職はどう対応しているのだろうか。調査では「ここ数年の間に実際に医療現場で起こった変化」について回答を求めた。第1位は先述の調査結果と同様に、「医師に会いづらくなっている」で全役職とも8割を超えた。次いで第2位には「後発品の使用が急激に進んだ」が全体で75%を占めた。営業管理職が危機感を感じる項目としては、「働き方改革で医師・医療者の勤務形態が変わった」や、「病院経営が厳しくなった」、「医師と薬剤師、看護師など多職種連携が増えた」、「地域医療連携推進法人が話題になった」など。これらを見ても、これからの地域医療の方向性を予見するものが多く、環境変化への高いアンテナが求められていることを感じさせるものと言える。
 

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