新型コロナのPCR検査 発症から9日以内は唾液で可能に 検査体制拡充に期待
公開日時 2020/06/03 04:51
新型コロナウイルス感染を調べるPCR検査について厚生労働省は6月2日、発症から9日以内であれば唾液を用いることを可能とした。同日、PCR検査キットの一部変更承認を行うとともに、即日保険適用した。PCR検査には鼻咽頭ぬぐい液を用いているが、採取する医師や看護師など医療従事者の感染リスクが指摘されていた。唾液の活用で感染リスクが低下し、感染防御や人材確保など医療機関側の負担が軽減することが見込まれる。病院や診療所でも検査が可能になることで、検査体制の拡充に期待がかかる。
検査に際しては、患者自身に滅菌容器(50ml遠沈管等)に、5~10分かけて1~2ml程度の唾液を採取してもらう。従来は、医療従事者が患者の鼻腔に綿棒などを挿入し、上咽頭をぬぐい、検体採取しており、医療従事者の感染リスクが指摘されていた。感染防護具もフェースシールドなど眼の防護具や長袖ガウン、サージカルマスク、手袋が必要になる。一方、唾液検体を採取する場合には、サージカルマスクと手袋で済み、医療機関側の負担が軽減される。患者にとっても採取に伴う痛みがないなどのメリットがある。
承認の根拠となった厚生労働科学研究では、自衛隊中央病院に入院した新型コロナウイルス患者88症例から採取した凍結唾液検体を用いたPCR法、LAMP法などと、鼻咽頭ぬぐい液を用いたPCR検査の結果との一致率を検証した。発症から9日以内の症例では、鼻咽頭ぬぐい液陽性の患者のうち、唾液検体では85~93%前後で陽性だったという。一方で、発症後10日目以降の唾液については、ウイルス量が低下することがわかっており、推奨されないとしている。
同日は、検査実施にかかわるマニュアルも改定した。唾液は粘性が高いため、検体取り扱い時のピペット操作が困難なことがあると説明。唾液に対し1~3倍量のPBSを加えボルテックスミキサーおよび激しい転棟混和で懸濁し、延伸後上清を用いて核酸抽出を行うとしている。
◎エスアールエルが検査を受託 1日に最大4200件が可能に
検査を受託するのは、みらかホールディングスの連結子会社のエスアールエル。同日、医療機関からの受託を開始した。同社によると、検体が到着した翌日には結果が判明するという。1日の受託キャパシティは約4200件。当面は現在の体制で運用するが、今後需要が高まれば、受託を増やすことも視野に入れている。