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コロナ禍でも高齢者らに必要なワクチン接種を 医療従事者とのコミュニケーションが重要に

公開日時 2020/09/30 04:50
新型コロナウイルス感染症の影響で、高齢者などを中心に医療機関の受診控えが指摘される。こうしたなか、高齢者の患者数が多く、社会に与えるインパクが大きいインフルエンザや肺炎球菌性肺炎、帯状疱疹など本来必要とされるワクチンを接種をできず、新型コロナ以外の健康被害が起きることも懸念されている。欧州製薬団体連合会(EFPIA)は9月29日、ワクチンをテーマに専門医らを交えたディスカッションを行った。特に高齢者や成人の接種率を向上させるためには、医師が患者に接種により起こり得る副反応を含めて、丁寧に説明するなど、医師と患者とのコミュニケーションの重要性が指摘された。

◎受診控えの患者「外出自粛や院内感染の恐れ」理由が7割


医師229人、患者5000人を対象に今年6月に実施した調査(実施主体:デロイトトーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社)の結果からは、新型コロナの影響で患者の受診控えの傾向が見て取れる。

医師調査では、外来患者(初診)が「減った」との回答は、診療所(112人)の83%、病院(108人)の85%が減少したと回答した。一方、患者調査でも、「なるべく通院を控えたい」との回答が48%を占めており、新型コロナの影響を受けた受診抑制の傾向がみられる。実際、定期的に通院している患者のうち、通院頻度が減少したとの回答は23%だった。受診抑制の理由として最多だったのが、「外出自粛や院内感染の恐れなどにより、病院・クリニックへの訪問を控えたため」で69.1%を占める。

◎インフルエンザワクチンうたない高齢者 「自分はかからないと思っている」が3割

一方で、60歳代400人を対象とした別の調査では、季節性インフルエンザワクチンを「接種したことのない、もしくは今は接種していない」と回答した人(114人)の理由として、「自分はかからないと思っているから」(32.1%)などの声があがる。一方で、ワクチンの認知度が高いほどワクチンの接種率が高い傾向も示す。

セミナーに登壇した、中山久仁子氏(マイファミリークリニック蒲郡 理事長・院長)は、「基礎疾患を持っている患者さんは、比較的自分の体に対して真剣に考えている人が多く、比較的よく説明を聞いてくれる。副反応についても、しっかり聞いて納得の上でメリットがデメリットを上回る場合には積極的に接種する」と説明。一方で、怪我など急性疾患で外来を訪れる患者は、「健康に自信のある人が多く、説明には時間がかかることが多いが、繰り返すと、興味を持ち、納得すればうってくれる。丁寧な説明がどなたにも必要だ」とコミュニケーションの重要性を強調した。患者側の理解度がどのフェーズにあるか、に注意を払い、それに合わせた情報を提供することが重要との考えを示した。

◎日医・釜萢常任理事「新型コロナ以外の疾病対策がおろそかになってはならない」


セミナーにコメントを寄せた日本医師会の釜萢敏常任理事は、「新型コロナウイルス感染症の防止に向けた取り組みと同様にそれ以外の疾病対策がおろそかになってはならない。特にワクチンで防げる病気に対する予防接種は極めて重要だ」と指摘した。

そのうえで、「医師と対象者との円滑なコミュニケーションは、特に成人、高齢者に対して接種率の向上に大きな役割を果たすと考えられる。医師は日常診療をはじめ、様々な機会をとらえ、予防接種の狙い、得られる利点についてわかりやすく説明し、接種に伴って予想される副反応についてもあらかじめ共有しておく必要がある。あくまで対象者の納得を得られたうえで接種をうけていただく。コロナ禍のなかで医療機関を訪れることに感染の不安を感じる方が少なくない。感染防止対策を理解いただき、不安の払しょくに努めるのは当然だ。必要な予防接種が着実に実施されることが望まれる」とのコメントを寄せた。
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