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GEヘルスケア コマンドセンターの病床管理と草津総合病院における地域展開像を提示

公開日時 2021/06/30 04:49
GEヘルスケア・ジャパン株式会社と社会医療法人誠光会草津総合病院は6月23日、4月から同院で稼働を始めているコマンドセンターと、その地域展開像についてオンライン配信で公表した。コマンドセンターは、電子カルテなど院内にある多様なデータを一元的かつリアルタイムに分析・可視化し、意思決定を容易にして病床管理の負担軽減や入退院業務の効率化など図るシステム。その概要について同社エジソン・ソリューション本部ディレクターの松石岳氏、またコマンドセンターを活用した地域医療の将来像を社会医療法人誠光会の法人本部副本部長、蔭山裕之氏がそれぞれ講演した。

◎院内の多様な情報・データをリアルタイム分析で可視化


松石氏はまず米国ジョンズ・ホプキンスホスピタルとコマンドセンターの開発に至った経緯を紹介した。「同院の病床稼働率が85%と高止まりしているなか、一つの仮説としてリアルタイムデータを表示し、予測シミュレーションモデルを用いたアラートで、意思決定とプロセスの標準化、もしくは組織のガバナンスを包括的に見直すことによって医療の質が上がっていくのではないかとの考え方から始まっている」と説明。実際に同院でコマンドセンターを立ち上げた結果、救急患者の受け入れ時間20%短縮、手術室の受け渡し時間80%短縮など“小さな成功”を積み上げ、病床稼働率は92%まで改善されたという。

医療分野における従来のデータ利活用は、カルテなど過去データの蓄積がメインであるのに対し、コマンドセンターの場合は、「何が起こるのか」を予測的に考え、さらに「何を行うべきか」という規範的なデータ分析を行っているのが特徴だ。データ収集エンジンを設置してカルテ、PACS(画像データ)、検査データなどの情報システムから自動的に情報を収集し、集めた情報を「意味ある情報」になるよう整形・加工・演算する。最終的にはリアルタイムな分析・可視化アプリケーションであるタイル(Tile)がつくられていく仕組みである。「このタイルを壁面に並べて中央監視していくとコマンドセンターといわれる運用モデルになる」と松石氏は述べた。

続いて、草津総合病院における病床管理に関する課題として、▽現場に聞かないと正確な状況が分からない、▽情報伝達に膨大な時間が費やされる、▽各病棟で稼働率・在院日数のバラつきが大きい、▽入院患者の容態変化の全体把握に時間がかかる、▽看護師の忙しさ度合いを可視化するのが難しい─―などを列挙。その課題解決のため同院では7つのタイルを活用しているという。例えばCapacity Snapshotは病床全体の稼働状況をリアルタイムで可視化し、Discharge Tasksはスムーズな退院のための対応すべきケアやタスクを患者ごとに表示。またNews Scoringは重症度をバイタルデータから自動的に算出して重症化の早期発見・介入を図り、Staffing Forecastは、病床ごとに対応する看護師リソースを把握し、調整・再配分を行う。

「病床管理のプロセスの中で、これらのタイルを組み込み、早期のジャッジメントと、新しい運用モデルを考えていくのがこのコマンドセンターの醍醐味」と松石氏は説明。そのうえで経営的には病床稼働率の向上、患者視点ではケアの質の向上と重症化の低減、医療従事者に対してはスキルレベルに合ったシフト管理が可能になるなどコマンドセンター導入によるベネフィットを紹介した。また、このシステムを利用するにあたっては新たに情報を入力する必要はなく、医療従事者の負担が増えないことも強みといえる。

◎将来的には連携推進法人でコマンドセンターを有効活用


次に地域での展開をテーマに講演した社会医療法人誠光会の蔭山氏は、草津総合病院が中心となって開設した地域医療連携推進法人湖南メディカル・コンソーシアムで将来的にはコマンドセンターを活用していく考えを示した。湖南メディカル・コンソーシアムは滋賀県の大津・湖南地域における医療連携推進業務を進め、地域医療構想の達成や地域包括ケアシステムの構築を目的に発足し、現在、35法人101施設が参加する国内最大級の連携推進法人。その中核を担う草津総合病院も2018年よりケアミックス型病院から高度急性期・急性期に特化して病床を再編し、地域完結型医療の実現を目指している。

「そこで重要な役割を果たすのがコマンドセンターだ。例えばCapacity Snapshotを連携推進法人に参加している施設が活用できるようになると、患者さんを送り出す施設、受け入れる施設がタイムリーに互いの状況を確認して、転退院がスムーズに切れ目なく実施されることになる」と蔭山氏と述べた。これまで手術が終わって回復期病院に移れる患者も急性期病院で1~2日待機させるといったことが頻繁に生じていたが、コマンドセンターの共同利用により、こうした医療資源の無駄を解消できると展望している。

加えて、外来関連のタイルを順次稼働させ、例えば受付の患者数から採血室の混雑状況を予測し、患者数が比較的少ない診療科のスタッフを採血室に回すといった人的資源の有効活用を検討しているほか、経営判断や組織の目標設定に必要なヒト、モノ、カネ、情報をセンターで統合管理していく予定だという。蔭山氏は「これらの経営資源はすべて遠隔管理できるので、複数の病院や介護施設の情報を集約し、管理することが可能になる。コマンドセンターにより、地域の医療資源を最大限、有効に活用できると考えている」との認識を示した。

さらに近い将来、コマンドセンターの導入によって管理部門に大きな変化が訪れるという。「経営資源のデータがコマンドセンターに統合されると、そこから得られる可視化されたデータをもとに対策が必要なプロジェクトやトラブルを事前に把握できる。その対策や対応ごとに関係するスタッフが集まり、素早い意思決定を行うことになる。つまり、組織横断的活動の日常化で1つの生命体のような組織になり、人事や経理などの縦割りの組織がゆるやかに解体されていくだろう」と蔭山氏は予測。そのうえでスタッフ1人ひとりが組織の存在意義やミッションを正しく理解し、適切な判断をそれぞれ行って成果を出す組織にしていく必要性を説いている。

「このような組織文化を持つ法人が生き残れると考えたこともコマンドセンターを導入した理由の1つ。組織横断で課題に迅速に対応できる活動を展開していく。そういったことを複数の法人でできる状態を目指したい」と蔭山氏は、湖南メディカル・コンソーシアムの将来像を描いてみせた。



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