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アステラス製薬 メタバース使った医師向けWebシンポジウムの運用を開始 対象領域や開催頻度拡大へ

公開日時 2022/09/28 04:52
アステラス製薬は9月27日、メタバースを使った医師向けWebシンポジウムの運用を8月から開始したと発表した。同日開催した営業本部デジタルコミュニケーション部とのグループ取材で明かにしたもの。同社は21年度から営業所所管の講演会でメタバース講演会のパイロットに着手しており、参加した医師の定量評価は全体満足度が約80%、リピート意向も約90%と高評価を得た。現在の視聴方法は医療関係者向け情報サイト「アステラスメディカルネット」からのアクセスに限定しており、今後は同社が企画するWebシンポジウムの全領域に拡大する。将来的には3D画像や偶発的なコミュニケーションなどの機能拡張も検討する。

◎リアル講演会で経験した医師同士のコミュニケーションをメタバースで再現

「多くの医師がリアル講演会で経験した(医師同士の)情報交換が有用だと感じていた。しかし、コロナ禍でこれがなくなった。こういった機会をメタバースで実行できないかということで、このプロジェクトを行っている」-。デジタルコミュニケーション部の兒玉浩亮係長はこう強調する。製薬各社のMR活動も、新型コロナの感染拡大に伴い、顧客である医師や医療従事者との接触機会が激減した。これは医師も同様で、学会年次総会や研究会が相次いでリモート開催に切り替わるなど、医師同士のコミュニケーションにも変化をもたらしている。

◎講演会の臨場感や、偶発的なコミュニケーションをメタバースで可能に


アステラス製薬は「全く新しい双方向コミュニケーションの実現を目指す」を目的に掲げ、仮想空間上での研究会・講演会の実施と、バーチャルとリアルの融合を実現する新たな情報提供手法の構築に動き出す。その名も「アステラスデジタルホールプロジェクト」-。デジタルホールのイメージは、同社つくば研究所のホールをそのまま移植しているのが特徴だ。

Webシンポジウムに参加する医師は、アバターとなって自身のPC上に投影されたデジタルホールに足を踏み入れる。会場のスクリーンには、Webシンポジウムの実際の映像が映し出され、仮想空間上のホール内で他の参加医師と一緒に講演を視聴する。こうすることで講演会の臨場感の体験や、偶発的なコミュニケーションが可能になるという訳だ。21年度からは、営業所所管の地区講演会でパイロットを実施した。パイロットにおいては、講演会機能、会場機能、ブース機能などを検証。参加した医師に対して、満足度やリピート意向に加えて、想定課題の検証や運用上の問題確認などを行った。

◎過去のパイロットの定量評価 全体満足度約80%、リピート意向約90%

この日公表されたパイロットの結果では、定量評価として全体満足度(約80%)、リピート意向(約90%)とも高評価を得たことが報告された。一方で、定性評価として、「会場の臨場感というところで、意外と緊張感が持ててよかったとの意見や、ブースによる展示など、新しい機能が評価された」(兒玉氏)など好意的な反応に自信を深めたという。一方で課題として、「通信環境について、ブラウザー、機種などの対応をもう少し広げて欲しいとの要望もあった」と兒玉氏は指摘し、今後の機能改良や機能拡張に強い意欲を示した。8月からは通常のWebシンポジウムへの運用を開始しており、対象領域や開催頻度を増やす方針だ。

◎Mixed Reality(複合現実)を活用した医療従事者と患者間のコミュニケーション支援

同社はメタバース以外に、Mixed Reality(複合現実・MR)を活用した医療従事者と患者間の疾患説明におけるコミュニケーション支援でも実績を積み重ねてきた。「HICARIプロジェクト」として2019年から取り組んでいる。同社は現在、骨粗鬆症と高コレステロール血漿でMRを導入している。

xR技術(クロスリアリティ)の持つ没入感と直感的理解を疾患説明に応用することで、医療従事者と患者の病態理解の」ギャップを解消し、コミュニケーションをより効果的なものとするのが狙い。特に、治療・服薬継続率の向上に寄与することが期待されている。この日は、2019年度と20年度に実施したコンセプト検証(PoC)の結果が公表され、疾患理解に対する項目で約85%が肯定的回答を寄せたことを明らかにした。引き続き定量的な効果検証を実施し、コンテンツ・領域の拡大を実施するとした。

◎小澤部長 組織改革の成果「営業部ヘッドやリーダー、MRと直接コミュニケーションできる」

同社営業本部デジタルコミュニケーション部の小澤ゆり部長は、営業本部の組織改革後の変化について、「営業部のヘッドやリーダー、あるいはMRと直接コミュニケーションができるようになった。今回の組織改革によって現場との連携がより密にできるようになっているというのがこの半年間の振り返りだ」と指摘。「“こんなデジタルの活用の仕方があるよ”といったやり取りをする中で、理解や親和性がMRとの間で深まっている」と成果を強調した。
 
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