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26年度診療報酬改定 物価・賃上げ対応で入院基本料引上げ 日医・松本会長「病院に重点も診療所強化」

公開日時 2026/02/16 05:33
賃上げ・物価対応が焦点となった2026年度診療報酬改定。医療機関経営が厳しさを増し、地域医療の崩壊が懸念される中で、30年ぶりの改定水準となる本体プラス3.09%で決着した。賃上げをめぐっては、病院は入院基本料の引上げなど基本診療料に配分されたうえで、ベースアップ評価料が上乗せされる一方、診療所では初診料は据え置きで、ベースアップ評価料による評価となった。日本医師会の松本吉郎会長は2月13日、診療報酬改定答申後の三師会・四病院団体協議会合同会見で、背景にはベースアップ評価料の算定率が病院と診療所で大きな差があったことがあると説明。「物件費・賃上げの対応は、病院に重点を置きつつ、診療所に対しても強化された」と強調した。

◎「インフレ下での道しるべとなる大変重要な診療報酬改定」

「インフレ下での道しるべとなる大変重要な診療報酬改定になった」-。日本医師会の松本会長はこう強調した。デフレからインフレへと転換し、賃上げと物価高騰が医療機関経営に重くのしかかるなか、病院の約7割、診療所の約4割が赤字に陥っているとのデータも示される“異常事態”で臨んだ26年度診療報酬改定。25年末の厚労相・財務相の大臣折衝では、診療報酬本体プラス3.09%のうち、賃上げ分としてプラス1.70%、物価についてもプラス0.76%を確保するなど、大臣折衝で使途を明記。賃上げ、物価対応に重点的な配分がなされた。

松本会長は、「地域医療は病院だけでは成り立たない。 病院と診療所がお互いに役割分担をし、そして連携し、地域を一体的に面として支えているものであり、その差はあっても病院・診療所とともに配慮が必要だ。今回改定で物件費・賃上げの対応は、病院に重点を置きつつ、診療所に対しても強化された」との認識を示した。

賃上げについては、26、27年度にそれぞれ3.2%(看護補助者、事務職員は5.7%)のベアを実現するために、26年度、27年度で段階を踏んで引き上げる。24年度診療報酬改定で新設されたベースアップ評価料を新水準にするとともに、「調剤ベースアップ評価料」を新設するなど、対象を拡大し、幅広い職種のベア実現を図る。

◎初診料は据え置き ベースアップ評価料で評価 継続して賃上げ対応は増点

賃上げ対応については、診療所の初・再診料と、病院の入院料で対応は分かれた。外来医療・在宅医療を実施する診療所では、初診料は据え置き(291点)、再診料は1点引き上げるにとどまった(75点→76点)。診療所の賃上げは、基本診療料の引上げではなく、新水準となる外来・在宅ベースアップ評価料で、賃上げに対応する。

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)は初診時6点→17点、再診時等は2点→4点など増点。27年6月には点数が倍の初診時34点、再診時に8点となる。すでに外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)を算定し、継続して賃上げに取り組む医療機関には増点し、26年度は初診時23点、再診時6点、27年度は初診時に40点、再診時に10点を算定できることとした。厚労省保険局医療課の林修一郎課長は1月14日の中医協総会で、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)を未取得の医療機関が多いとして、「24、25年度の算定状況に応じて評価に差を設ける必要があるのではないか」と説明していた。

◎病院 基本診療料引上げ 賃上げ実施していない病院は減算措置

一方、病院の算定する入院料については、入院基本料など基本診療料の引上げを軸に対応する。24年度改定の入院ベースアップ評価料の平均的な水準、賃上げ余力の回復・確保に相当する分を足し合わせて入院料を引上げたうえで、新水準の入院ベースアップ評価料を上乗せする形で評価する。急性期一般入院料1は1688点→1874点となるなど大幅な増点となる。ただし、26年3月時点でベースアップ料を算定していないなど、賃上げを実施していない医療機関については、急性期一般入院料1では121点の減算する規定も新設した。

◎算定率は病院9割、診療所4割「初・再診療へ溶け込ませることはできなかった」

日医の松本会長は、ベースアップ評価料の算定率が病院では9割超であるのに対し、診療所では4割にとどまっていると説明した。病院では「24年、25年分は入院料に溶け込ませ、26年から27年度分は新たに評価が設定されることとなった」と説明。一方で、算定率の低い診療所では「初・再診療へ溶け込ませることはできなかった」と述べた。

松本会長は、「医療機関それぞれのご判断で給与体系を考えて払っていく、経営状況等も様々で、職員の構成もまた様々だ。柔軟に医療機関そのものが判断をして活用できるというのが本来の姿であろうと思っている。その意味では今回も基本診療料の増点で対応するのは望ましいとは思っている」と表明。一方で、病院と診療所で算定状況が異なるために、「基本診療料のみに溶け込ませることがなかなか難しかったという印象は持っている」と述べた。

そのうえで、「今後さらに外来・在宅ベースアップ評価料の届け出が増え、各医療機関等の従事者の賃上げもしっかりと反映され、人材流出に一定の歯止めがかかるように、日本医師会として各医療機関への周知徹底、さらなる届け出の増加に向けて呼びかけに努めてまいりたい」と強調した。

◎物価高騰で「物価対応料」新設 施設類型の費用関係データに基づき配分

物価高騰への対応としては、基本診療料・調剤基本料などの算定にあわせて算定できる「物価対応料」を新設する。外来・在宅物価対応料は26年度に初・再診時に2点、入院物価対応料として急性期病院A一般入院料1を算定する場合は66点、急性期一般入院料1を算定する場合は58点。物価上昇を踏まえ、27年度は26年度の2倍となる。医療機能によって物件費率が異なることなどを踏まえ、施設類型に応じた点数配分となった。

◎「医療機関にできるだけ公平に配分されるよう検討していただいた」

松本会長は、「これまでの消費税対応を参考に、26年度以降の物価上昇への対応を施設類型ごとの費用関係データ等に基づき配分するとともに、24年度改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急対応も行われ、各医療機関にできるだけ公平に配分されるよう検討していただいたものと理解している」と述べた。「医療機関の規模や診療科によりましては十分とは言えない対応であるかもしれないが、一定の評価にはなったのではないか」との認識を示した。

◎病院・診療所の差「賃金・物価上昇の影響を加味した形で財源配分がなされた結果」

診療所と病院の評価に差があることも指摘されるところ。松本会長は、「土台となる技術料部分において改定時に差を設けることは断固反対するが、今回はあくまでコスト構造における物価・賃金の比率が病院、診療所で異なる。病院の中でも、規模など色々な状況によって中でも異なっている面があった」と説明。「賃金・物価上昇の影響を加味した形で財源配分がなされた結果だと思っている。あくまでも加算的な、コストのみの対応であると理解している」と話した。

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