バイタルケーエスケーHD 監査等委員会設置会社に移行 ROEに連動した「業績連動報酬制度」導入へ
公開日時 2022/10/31 04:49
バイタルケーエスケーHDは10月28日の取締役会で、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行する方針を決議した。同社の掲げる「企業価値向上の取り組みの強化」の基本方針であるコーポレート・ガバナンスの充実を実践するもの。事業環境が急速に変化する中で、経営に関する意思決定の更なる迅速化、取締役会における経営戦略等の議論の一層の充実と監督機能の強化を目的とした。また、取締役、執行役員、従業員のROEに連動した「業績連動報酬制度」を導入する。23年6月開催予定の定時株主総会にける承認を前提に実施する。
監査役会設置会社は、取締役3人以上、監査役3人以上の合計6人以上の役員で取締役会を構成してきた。2015年6月1日から運用開始されたコーポレートガバナンス・コードでは「独立社外取締役を少なくとも2人以上選任すべき」という努力義務が規定され、業務執行取締役を複数名置きたい会社は最低でも役員は7人以上必要となっていた。これに対し、監査等委員会設置会社は、業務執行取締役1人と監査等委員たる取締役3人以上と最低4人の取締役(監査役は不要)で構成できる。これにより持続的成長及び中長期的な企業価値の向上を目指した経営面の意思決定の迅速化と取締役会における鑑査機能の強化が図られる。
同社は23年6月に開催予定の定時株主総会における定款変更等の決議を経て、監査等委員会設置会社に移行する。定款変更の内容及び役員人事等を含む移行の詳細につきましては決定次第公表する方針。
◎業績連動報酬制度「株主と同じ目線で、より一層、持続的な企業価値向上を目指す」
同社および事業子会社の取締役、執行役員、一定条件を満たす従業員を対象に、新たな業績連動報酬制度としてROE(自己資本当期利益率)の達成度合に応じて株式報酬を付与する「譲渡制限付株式給付制度」を導入する。同社は、「取締役、執行役員、従業員が同じベクトルでROEを強く意識することになり、株主と同じ目線で、より一層、持続的な企業価値向上を目指すことが可能になる」と強調している。なお、ROEについては、現在進行中の第5次中期経営計画において既存事業の収益力の向上を図るとしており、2023年度のROEは5.0%、24年度は5.2%、10年後(2031年度)には 8.0%を目指す計画を公表している。
このほか企業価値向上に向けた取り組みの強化のうち、「資本効率の改善」では、株主還元策の充実として、「総還元性向50%以上」を目標に株主還元を実施する。また、配当方針は、従来の「配当性向25%以上」から、単年度の業績変動の影響を受けにくい株主資本配当率(DOE)を採用し「DOE2%以上」に変更する。これにより2022年度の一株当りの配当予想は当初の年間24円から39円となる。さらに自己株式の取得については、上場医薬品卸売企業の最高水準のPBR(時価純資産倍率)に達するまで継続する予定とした。
◎既存事業投資で約300億円、成長投資で約200億円を想定
既存事業投資では第5次中計期間中、大阪物流センター、メインフレームのオープン化、既存施設の更新や支店の統廃合等で約 300 億円を想定。新たな収益確保のための成長投資では、イドルシアファーマシューティカルジャパンや製薬企業のメーカー物流を請け負う3PL事業を中心に、各種アウトソーシングビジネスを受託する。さらに医薬品卸売事業周辺の事業領域における新規事業投資やM&Aなどの資金として約200億円を想定した。