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SABCS 2022 アベマシクリブ+ET併用 リンパ節陽性HR陽性HER2陰性早期乳がんのIDFSとDRFSを延長

公開日時 2022/12/20 04:48
再発リスクが高いリンパ節陽性のホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性早期乳がん患者への術後補助療法として内分泌療法(ET)にアベマシクリブを追加する併用療法をET単独と比較検討したオープンラベル無作為化第3相試験「monarchE試験」の結果から、観察期間中央値42カ月の長期追跡でも、アベマシクリブ+ET併用が無浸潤疾患生存期間(IDFS)および無遠隔再発生存期間(DRFS)を延長させることが分かった。英Royal Marsden NHS Foundation TrustのStephen Johnston氏が、12月6~10日まで米テキサス州サンアントニオで開催されたサンアントニオ乳がんシンポジウムで報告した。(メディカルライター/ヘルスケアビジネスコンサルタント 森永知美)

◎monarchE試験 アベマシクリブ+ETの併用療法をET単独と比較

「monarchE試験」の被験者は、閉経前および閉経後の患者で、術前または術後補助化学療法の有無を問わず組み込まれた。転移性、リンパ節陰性、および炎症性の乳がん患者は除外された。被験者は、臨床病理学的特徴をもとに高リスク(腋窩リンパ節転移が4個以上伴うか、または1~3個で組織学的グレード分類3か腫瘍径が5cm以上であること)と定義したコホート1(5120例)と、Ki-67をもとに高リスク(Ki-67が20%以上で、腋窩リンパ節転移1~3個有し、組織学的グレード1か2で腫瘍径が5cm未満)と定義したコホート2(517例)に分類された。これら2コホートを合わせた計5637例がITT集団であった。

被験者は1対1の割合で、術後補助療法としてET(アロマターゼ阻害薬またはタモキシフェン)にアベマシクリブ(150 mg、 1日2回)を追加する被験者群(2808例)とETだけを行う被験者群(2829例)にランダム化した。アベマシクリブの投与期間は最長2年間。

主要評価項目はIDFS、副次評価項目はKi-67が高値の集団におけるIDFS、DRFS、OS、安全性などであった。

アベマシクリブ+ET併用は、観察期間中央値19.1カ月の主要解析でET単独と比べIDFSを有意に延長させたことが既に報告されている。今回の発表は、予め計画されていたOSの中間解析からのデータで、主要解析から2年後の観察期間中央値42カ月の結果である。全被験者がアベマシクリブの投与を終えていた。

◎アベマシクリブ+ET併用群はET単独群と比べ継続してIDFSを延長


ITT集団における解析で、アベマシクリブ+ET併用群はET単独群と比べ継続してIDFSを延長させていた。ハザード比(HR)は0.664で(95% CI: 0.578 – 0.762、名目上のp値<0.0001)、IDFS率は2年目がアベマシクリブ+ET併用群92.7% vs ET単独群89.9%(絶対利益2.8%)、3年目が89.2% vs 84.4%(絶対利益4.8%)、4年目は85.8% vs 79.4%(絶対利益6.4%)と、差が時間の経過とともに広がっていた。サブグループ解析においても、一貫してアベマシクリブ+ET併用群が優位であった。

◎DRFSも併用群が延長

DRFSも同様にアベマシクリブ+ET併用群が延長しており、HRは0.659(95% CI: 0.567 – 0.767、名目上のp値<0.0001)だった。アベマシクリブ+ET併用群とET単独群のDRFS率は、2年目がそれぞれ94.0%、91.6%、3年目が90.8%、86.8%、4年目が88.4%、82.5%だった。

OSは未到達で、イベント数はアベマシクリブ+ET併用群157例、ET単独群173例、HRは0.929(95% CI: 0.748 – 1.153、log-rank p=0.5027)だった。最終解析まで継続して観察する。

コホート別の解析では、IDFSはコホート1のHRが0.653(95% CI: 0.567 – 0.753、名目上のp値<0.0001)、コホート2のHRは0.773(95% CI: 0.420 – 1.420、名目上のp値=0.4048)、DRFSは、コホート1のHRが0.652(95% CI: 0.558 – 0.761、名目上のp値<0.0001)、コホート2のHRは0.764(95% CI: 0.383 – 1.526、名目上のp値=0.4448)だった。

また、コホート1においてKi-67が高値の集団と低値の集団とでそれぞれ解析した結果、高値の集団におけるHRは、IDFSが0.618、DRFSが0.612、OSが0.733、低値の集団におけるHRはそれぞれ0.624、0.613、0.772で、アベマシクリブの有効性はKi-67インデックスに関わらず観察されることが示された。

主な有害事象は下痢(アベマシクリブ+ET併用群84% vs ET単独群9%)、倦怠感(41% vs 18%)、関節痛(27% vs 38%)、好中球減少(46% vs 6%)、白血球減少(38% vs 7%)、腹痛(36% vs 10%)、悪心(30% vs 9%)などであった。静脈血栓塞栓イベントはアベマシクリブ+ET併用群2.5%、ET単独群0.7%、肺塞栓はそれぞれ1.0%、0.1%、間質性肺炎はそれぞれ3.3%、1.3%であった。
 
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