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MR認定センター 26年度からMR認定試験を抜本改革 学生も受験できる「MR基礎教育修了試験」実施へ

公開日時 2023/02/08 04:52
MR認定センターの近澤洋平専務理事兼事務局長は2月7日、東京都内で開催した2022年度教育研修システム認定講習会で、MR認定試験制度を2026年度実施分から抜本改革すると表明した。MR認定証の交付プロセスを大幅に見直すというもの。新たな制度では、「MR基礎教育修了試験」の受験資格の制限を完全撤廃する方針で、6年制の薬科大学の学生以外に、生命科学系などの理系学生やその他のMR職を希望する一般人にも受験機会を拡大する。学生の場合、卒業までに基礎教育修了認定の合格証を取得できるため、製薬企業に就職を希望する学生やMR志望者を採用する製薬企業の担当者にとってのインセンティブにもなる。

新制度では、MRを志望する者は基礎教育(医薬品情報、疾病と治療、MR総論)を試験範囲とする「MR基礎教育修了試験」(仮称)をCBTで受験する。試験に合格すると、次のステップとして所属企業で「実務教育」を受講し、企業による成果確認の上で、MR認定センターが実施する「MR実務教育修了ドリル」を修了した者にMR認定証を交付する仕組みに改める。

これまでのMR認定試験と認定証の交付プロセスでは、新卒者を対象とした導入教育を4月から実施し、基礎教育を経て実務教育の一環となる現場活動を同時並行で経験させ、当該企業から基礎教育の修了認定を受けた者が12月に実施するMR認定試験に臨む。さらに認定試験に合格したMRで、かつ企業によって計6カ月のMR経験を修了認定された者に、「MR認定証」が交付されてきた。現行制度の場合、入社後早ければ1年程度でMR認定証が得られる。

◎MR基礎教育修了試験の難易度 6年制薬学部の4年次までの学習内容のレベルに

26年度からの新制度では、“企業による基礎教育を修了認定された者”という認定試験の受験資格を撤廃。誰でも受験できるように門戸を開放し、「MR基礎教育修了試験」(仮称)とのCBT試験の合格をもって、基礎教育の修了認定を行う。CBT試験を採用することで、年に複数回の試験実施も可能となる。また、現在の試験は一定割合を不合格にする仕組みだが、「MR基礎教育修了試験」は一定基準のレベルに達している者を合格とする絶対評価に改める方針だ。

同センターの近澤専務理事は講習会後の会見で、「MR基礎教育修了試験」の難易度について、6年制薬学部の4年次までの学習内容のレベルになるとの見方を示した。ただ、前提知識の不足などにより個人学習に支障がある者には、実施機関が提供する学習支援も用意するとの考えも示した。

◎MR認定証の交付要件の「MR経験6カ月」は廃止へ

一方で、「MR基礎教育修了試験」を経て合格証を取得すると、所属する企業で実務教育を受講することになる。実務教育は、倫理教育、安全管理教育、技能教育、その他企業が必要とする科目を中心に「企業が責任をもって実施」するというもの。受講者は、現場指導による行動評価に基づく成果確認が求められる。その後、MR認定センターが実施する「MR実務教育修了ドリル」で満点の者に対し実務教育の修了認定を行い、MR認定証を交付するというプロセスを踏むことになる。なお、運用に際しては、同ドリルは何回でもチャレンジできるようにするほか、これまで認定証の交付要件となっている「MR経験6カ月」は廃止する。

◎「製薬企業にとって、優秀な学生の獲得と社内教育の負担軽減の双方が期待できる」

近澤専務理事は、新制度導入の意義の一つとして、薬学部などの学生が在学時に「MR基礎教育修了試験」を受験し合格してもらうことを想定した。その上で、「受験者と合格者の双方が多くなることが予想される」と話した。また、「製薬企業にとって、優秀な学生の獲得と社内教育の負担軽減の双方が期待できる」とも強調したほか、学生時代に基礎教育の修了認定を受けた者が製薬企業にMR職として入社した場合、入社後数カ月という短期間でMR認定証が交付されるケースもあり得るとの見方も示した。

◎大学キャリアセンターへの広報 積極的に展開へ

同センターは今後、製薬協などの業界団体のほか、大学や学会などを通じて新たなMR認定試験制度を説明し、新制度やMR職に対する理解を求めていく方針。MRを輩出している薬科系大学や理系大学のキャリアセンターへの広報も積極的に展開し、学生に製薬企業やMR職を知ってもらい、「MR基礎教育修了試験」の受験につなげたい考え。

MR認定試験制度は1997年に第1回の試験が実施されてから25年が経過した。医師国家試験を参考に試験制度は設計され、最終的には認定試験制度として運用が始まった。これまでに数回の制度改革が行われたものの、現制度には問題点が内在しており、例えばMRの資質を最終的に認定すべき試験でなければならないはずの認定試験制度はいま、基礎教育の習得度を確認するための試験になってしまった。試験は毎年12月に1回一斉実施しているが、感染症リスクに加え、企業からは試験日の前倒しや年複数回の受験機会を求める声も大きくなっていた。

また、合格基準点に関しても、例えば「疾病と治療」の近年の合格基準点は100点満点に換算すると63点前後で、4割近く不正解でも合格と判定されており、本来の認定試験のあり方から乖離しているとの指摘も出ていた。同センターは26年度抜本改革で、これらの問題点の解決を図りたい考え。
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