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製薬企業の生成AIビジネス活用調査 一部業務活用で社員の生産性向上に期待 まずは社内GL策定

公開日時 2023/09/01 04:52
ミクス編集部は主要製薬企業20社を対象に「生成AI」のビジネス上の取り組みと課題についてアンケート調査を実施した。有効回答は17社。うち16社が生成AIのビジネス活用に「関心ある」と回答した。すでに社内業務に生成AIを利活用するケースや、必要な社内ガイドラインの整備に着手する企業が半数弱あった。また、医師や薬剤師の生成AIの活用について回答を求めたところ、論文サマリーや医薬品情報の収集、類似薬との比較に活用される可能性があると予測し、企業として必要な対応が求められる可能性を想定していることも分かった。一方で、ニセ情報・誤情報対策など技術面・環境面のさらなる整備を求める声もあがった。

文末の「関連ファイル」に、生成AI(ChatGPTなど)のビジネス活用への期待に関するアンケート結果を掲載しました(会員のみダウンロードできます。14日間の無料トライアルはこちら)。

◎生成AIへの期待「生産性向上」がトップに

生成AIのビジネス活用への期待について回答を求めた。最も多かった回答は「(社員の)生産性の向上」に関するもの。「本社の業務効率化や生産性向上に期待」と「生産性向上を支援するツールとして期待」が、ともに全回答で88.2%(内資系83.3%、外資系100%)となった。次いで「営業・マーケティング部門の業務効率化や生産性向上に期待できる」が全体で76.5%(内資系66.7%、外資系100%)を占めた。製薬各社ともMR数を適正化する動きを見せる中で、MR活動の新たな生産性向上ツールとして考えていることがうかがえる。

ビジネス活用の観点では、「働き方改革」や「業務改善」、さらには「イノベーションを生むツール」などへの期待感もうかがえる。製薬ビジネスの変革が求められる中で、営業・マーケティング部門に限らず、研究開発、生産部門など各バリューチェーンでの検討も視野に入れているようだ。

◎生成AIの急速浸透に各社どう対応? まずは社内GLの策定 全面導入は23.5%

生成AIについて各社の取り組み状況を調査した。その結果、「社内GL策定などの検討に着手した」と、「社内検討を開始した」が全体回答の41.2%を占めるなど、生成AIへの挑戦が始まっていることを印象付けた。次いで「社内で全面導入した」が全体回答の23.5%、「社員に活用を促した」と「社内で一部に導入した」がともに17.6%あった。なお、「社内で全面導入した」との企業数は内資系3社、外資系1社。「社内で一部に導入した」は内資系2社、外資系1社だった。企業数はまだ少ないが、今回の調査を見る限りにおいて、社内検討や社内GLの策定を優先させている状況が浮かびあがっている。

◎医師や薬剤師など医療者の利用シーンを想定

生成AIを医師や薬剤師などの医療関係者はどのようなシーンで利活用するかについて企業側の見解を聞いた。この項目は、あらかじめ医療関係が生成AIを活用すると予測した企業10社(内資系7社、外資系3社)から回答を求めたもの。その結果、「興味のある疾患領域におけるKOLの学会発言に関するサマリー」、「知りたい医薬品の関連論文に関するサマリー」、「単に知りたい医薬品の情報を収集」をあげた回答企業は全体の52.9%となった。

次いで、「興味のある疾患領域における複数KOLの論文サマリーの比較・資料作成」、「知りたい医薬品と類似薬に関する関連論文の比較情報のサマリー・資料作成」、「知りたい医薬品と類似薬の“安全性”に関する比較情報の取集・資料作成」、「知りたい医薬品と類似薬の“有効性”に関する比較情報の収集・資料作成」がいずれも全体回答で47.1%と続いた。

◎生成AI普及へ「民間組織(企業)が医学系クローズド・生成AIを構築、医療者に開放」

生成AIの普及に際し、課題とはどのようなものがあるだろうか。最も多かった回答は、「現時点の生成AIにはニセ情報が含まれるため、さらなる技術革新が必要」が全体回答の58.8%を占めた。一方で、生成AIが社会的に広く普及することを前提とした環境整備として、「民間組織(企業)が医学系クローズド・生成AIを構築、医療者に開放」が全体回答で29.4%、「学会など公的セクターがクローズド・生成AIを構築し、医療者に開放」と、「自社の医療者向けサイト内に生成AIを構築し、クローズな形で運用を求める」がともに23.5%の回答を集めた。

生成AIは製薬産業・医療界の“敵か味方か!”
緊急調査から見えた生産性向上への期待と課題
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