抗てんかん薬・フィコンパ点滴静注製剤とイグザレルトの効能追加を承認へ 薬食審第一部会が了承
公開日時 2023/10/30 04:50
厚生労働省の薬食審・医薬品第一部会は10月27日、抗てんかん薬・フィコンパの点滴静注製剤と、経口抗凝固薬・イグザレルトの「フォンタン手術施行後の血栓・塞栓形成の抑制」の効能追加の承認の可否を審議し、いずれも承認することを了承した。
イグザレルトの効能追加は11月中に正式承認される見通し。一方、フィコンパの点滴静注製剤は新投与経路医薬品であり、薬価収載を経て発売される見通し。
【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽フィコンパ点滴静注用2mg(ペランパネル水和物、エーザイ):「一時的に経口投与ができない患者における、下記の治療に対するペランパネル経口製剤の代替療法。・てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)、・他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は6年。
AMPA型グルタミン酸受容体拮抗薬。現在、経口製剤(フィコンパ錠、同細粒)が承認されている。てんかん患者が手術時など一時的に経口で薬剤を服用できない場合に、投与中断による発作リスクが懸念されるため、経口投与以外の治療を継続することが望ましいとされている。
点滴静注製剤の効能・効果は、経口製剤と同じで、一時的に経口投与ができない患者におけるペランパネル経口製剤の代替療法の位置付けとなる。用法・用量は、①ペランパネルの経口投与から切り替える場合②ペランパネルの経口投与に先立ち投与する場合―に分けて設定されており、いずれも1日1回点滴静脈内投与する。
なお、経口抗てんかん薬の代替療法の適応を持つ静注製剤には、イーケプラ点滴静注やビムパット点滴静注、ホストイン静注がある。
▽イグザレルト錠10mg、同細粒分包10mg、同OD錠10mg、同ドライシロップ小児用51.7mg、同ドライシロップ小児用103.4mg、同錠2.5mg(リバーロキサバン、バイエル薬品):「フォンタン(Fontan)手術施行後の血栓・塞栓形成の抑制」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。
選択的直接作用型第Ⅹa因子阻害薬。フォンタン手術は、先天性心疾患患者を対象に、低酸素血症(チアノーゼ)の改善と心室容量負荷の軽減を目的として行われる。フォンタン手術後患者では、血小板の機能亢進、凝固系の亢進および線溶系の機能低下が認められ、血栓塞栓症の発現リスクが高いことから、抗血小板薬または抗凝固薬による血栓予防が必要とされている。
現在はフォンタン手術施行患者の血栓・塞栓形成の抑制のため、アスピリンまたはワルファリンの投与が推奨されている。