レオ日本法人・シスネロス社長 自販構築で皮膚科専門医とのコミュニケーション強化 患者ニーズを把握
公開日時 2024/01/19 04:52
レオ ファーマのクリス シスネロス代表取締社長は1月18日、社長就任後初めて本誌インタビューに応じ、皮膚疾患患者のニーズに応えるイノベーションを推進し、日本の患者に貢献していくと抱負を述べた。皮膚科専門医や患者のニーズの把握にMRが重要な役割を果たしていると強調。「(2023年から)自社販売を開始したことで、MRが医師から直接、治療する上での困りごとや何を求めているかが聞けるようになった」とし、会社としても「MRが極めて重要な情報源になっている」と手応えを語った。MRの増員は当面行わず、現在の体制でコミュニケーション力や傾聴力を高めていく方針も示した。
レオはデンマークに本社を置く皮膚科領域の医療用医薬品事業(メディカルダーマトロジー)に特化したスペシャリティファーマであり、同領域のグローバルリーダー。115年の歴史があり、日本法人は2010年6月に設立した。
日本では当初から自社品をパートナー企業に販売してもらう戦略をとったが、中等度から重度のアトピー性皮膚炎に対するバイオ製剤・アドトラーザ皮下注の自社販売に向け、22年6月からMRを募集して自販体制を構築した。同社MRは、尋常性乾癬治療薬・ドボネックスの鳥居薬品との販売契約満了を機に同剤を23年1月から手掛け、同年9月からアドトラーザの販売を始めた。MR数は非開示だが、「2ケタ後半」とみられる。なお、日本の正社員数は現在約120人で、この18カ月間で2倍となった。
◎アンメットニーズを把握し 医療関係者や患者の期待に応える活動に注力
シスネロス社長は、「当社は皮膚科領域の医療用医薬品事業にピンポイントで注力している製薬企業。皮膚科専門医や患者の意見を身近に感じるということを強みとしている」との認識を示した。日本法人の売上は右肩上がりに推移しているとのことだが、具体的な数値や業績目標は非開示。
その上で、「数字にもっとこだわるべきとの意見もあるが、数字よりも重要なことは日本における皮膚科疾患にどのようなアンメットメディカルニーズがあるのかを把握し、そのニーズを満たすことだ」と述べ、MRから日々報告される医師の生の声や、患者を講師に招いた社内勉強会、WebやSNSを活用した疾患啓発活動などを通じて医師や患者のニーズ把握に努めているとした。
これまでに把握した医師や患者のニーズも気になるところだ。シスネロス社長は一例としてアドトラーザの患者向けパンレットを挙げ、「盛りだくさんの内容に患者が圧倒されている。もっとシンプルに患者に伝える工夫が必要」との声を紹介した。またMRによる医師以外の医療スタッフに対する情報提供活動に関しても、▽もっとシンプルな話をしてほしい、▽もっとテクニカルな説明をしてほしい――など様々なニーズがあると指摘。「当方は、医師や医療機関からのリクエストやニーズありきでなければならない。お決まりの押し付けではなく、テーラーメイドで、ひとつひとつカスタマイズした形で応えていく必要がある」と述べ、MRのコミュニケーション力や傾聴力をより高めて情報活動を洗練させていく構えもみせた。
◎「内部告発が起こる前に解決できる組織を作り上げたい」
アドトラーザをめぐっては23年3月に、製造工程での異物発見に関連して、同社に隠ぺい行為があったとする内部告発もあった
(記事はこちら)。シスネロス氏は6月22日付で社長に就任し、内部告発の際は同社にいなかったが、「内部告発が起こったことは残念なことであり、喜ばしいことではない」と所見を述べた。そして、「内部告発が起こる前に解決できる組織を作り上げたい」とし、そのために「オープンで、透明性があり、コミュニケーションをスムーズに取れる組織にする。社員が意見を自由闊達に交換し合える組織を作ることが私の使命だと思っている」と話した。
この内部告発とは関係なく、同社では月次や週次で様々なインフォーマルな意見交換の場を設けており、例えばランチタイムにチャットで意見交換する「Coffee Chat」や、社内SNSを用いた情報発信と共有、ワークショップなどを行っている。シスネロス社長は、「オープンに話せる場は組織として大変重要」だとした上で、「それぞれの部門のミッションが社員により理解されることで強い会社、強い文化というものが培われる。ワンチームとして結束することがベストなアプローチだと思っている」と述べた。
インタビューの詳細(一問一答記事)はミクス3月号に掲載予定です。