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大塚製薬とジョリーグッド 「感情認知トレーニングVR」の提供開始 臨場感あるトレーニングが特徴

公開日時 2024/04/03 04:50
大塚製薬とジョリーグッドは4月2日、共同事業であるVR(バーチャル・リアリティ)プログラム「FACEDUO」で、新たに「感情認知トレーニングVR」の提供を始めた。精神疾患や発達特性の当事者の中には、相手の感情が読み取れないなどの困難を抱え、社会参加や社会復帰のハードルとなっているケースがある。発売にあわせて、同日都内で開いたメディアセミナーで、ジョリーグッド医療統括顧問の蟹江絢子医師は、「臨場感ある形で学べるのがVRのメリット。実際の人ではなく映像なので、心理的な負担も小さくゲーム感覚で取り組むことができる」とメリットを強調した。

新たなプログラムである「感情認知トレーニングVR」は、感情を推測したり、読み取ったりする「感情認知」の能力向上が目的。VR内で相手が怒ったり、悲しんだりする状況を体験。キャラクターの「VRセラピスト」がその時の表情やしぐさの特徴を解説する。相手の行動に対してどう反応するかなど共感の仕方を学ぶことができる。360度空間の中で怒りや喜びなど6つの感情の声やしぐさを間近に体験でき、従来の方法よりも臨場感のあるトレーニングにつながるという。就労支援施設や医療・福祉機関などすでにFACEDUOを導入している施設のほか、学校や一般企業などへの展開も目指していくという。

◎東邦大・根本教授「認知機能へのアプローチで社会参加のリカバリーを期待」

コンテンツの監修を務めた東邦大医学部の根本隆洋教授は、同日のメディアセミナーで、社会認知障害に対する認知機能へのアプローチの有用性を強調した。根本教授は、統合失調症などの精神疾患や自閉スペクトラム症などの発達特性でおきる社会認知障害によって「日常生活に影響を及ぼし、当事者の社会復帰や社会参加が達成されない課題がある」と指摘。特に相手の表情を読み取ったり、声色から感情を判断したりする感情認知は「最も重要」との考えを示し、「認知機能へのアプローチすることで、社会機能が改善し、社会参加などのリカバリー達成が期待されている」と述べた。

ジョリーグッド医療統括顧問の蟹江絢子医師は、これまでの感情認知トレーニングでは、イラストに描いた表情などで説明することが多かったが、臨場感ある形で学べると特徴を紹介。付属の活用ガイドやワークシートも活用して取り組むことで「支援者のトレーニング方法の標準化にもつながる」と期待を込めた。

FACEDUOは、社会生活の場面を体験するソーシャルスキルトレーニング(SST)支援や、ひきこもり当事者やその家族支援など80以上のコンテンツを展開。現実の社会生活の様々な場面を、360度空間のVRで体験しながら学ぶことができるのが特徴で、就労支援施設や医療・福祉機関など100施設以上での導入が広がっている。
 
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