日本整形外科学会 ロコモ該当者は推計4160万人 階段昇り降りなど困難の自覚がサイン 1万人調査公表
公開日時 2024/09/09 04:50
日本整形外科学会は9月5日、ロコモティブシンドロームに関するインターネット調査から、ロコモ該当者が推計で4160万人に及ぶとの結果を公表した。東京都内であった記者会見で調査に携わった埼玉県立大保健医療福祉学部/大学院研究科の山田恵子准教授は「移動機能の低下は年齢にもかかわるが、低下の度合いには個人差がある。高齢になってから一律に対策を講じるのではなく、一人ひとりが兆候を見分けてその人に合った対策をとる必要がある」と強調。その上で、ロコモの兆候として▽階段の上り下り▽急ぎ足での歩行▽休まず歩き続ける▽スポーツや踊り―といった活動で困難さを自覚することがサインになると訴えた。
ロコモティブシンドロームは運動器障害のために移動機能の低下をきたした状態を指し、進行すると要介護のリスクが高くなると指摘されている。厚生労働省が国民の健康推進に向けた基本方針を示した「健康日本21(第三次)」では、ロコモの減少を目標として設定している。
◎インターネット調査 20歳以上の1万200人対象 ロコモ25を用いて評価
インターネット調査は2024年1月に日本整形外科学会がロコモの現状を把握するために実施。全国の20歳以上の成人1万200人を対象に、全国を7つのエリアに分け、人口比に応じて反映するよう設定した。調査では、身体の状態や生活状況から測定するロコモ度テスト(ロコモ25)を用い、痛みや程度を尋ねる25項目の質問からロコモ度1~3と非該当で評価した。
◎ロコモ1~3該当者は41% 80代になると男女ともに急増
調査結果によると、ロコモ度1~3に当てはまる該当者は41%に上り、20歳以上の人口比に当てはめると推計で4160万人となった。男女ともに80代になると該当者の割合が急増した。学会では17~19年にも全国の大学や医療機関で対面による調査を行っており、今回のインターネット調査とほぼ同じ傾向がみられたという。
◎山田・埼玉県立大准教授 4つのロコモサインに注意 「改善で動ける体作りにつながる」
ロコモ25の質問項目別にみると、「階段の上り下り」「急ぎ足での歩行」「休まず歩き続ける」「スポーツや踊り」の各項目で困難度の上昇は年代が上がるにつれて顕著だった。整形外科通院中の患者や長期間の経過観察を基にした別の研究や論文でも同様の傾向がみられた。山田准教授は「4つのうちの1つでも出てきたら、ロコモサインとして捉え、注意を促したい」と呼び掛けた。その上で「4つのロコモサインを改善することによってロコモの数を減らし、動ける体作りにつながるのではないかと考えている」と述べた。