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政府・高齢社会対策大綱 後期高齢者の窓口3割負担の対象範囲拡大を検討 65歳以上「就業率」上昇見据え

公開日時 2024/09/17 04:51
政府は9月13日の閣議で、新たな「高齢社会対策大綱」を決定した。現役並みに所得のある後期高齢者が医療機関を受診した際に支払う窓口3割負担について、対象範囲の拡大を含めて検討する方針を盛り込んだ。政府は大綱の中で、65歳以上の就業者数が今後も増加すると見通し、「年齢によって支える側と支えられる側を画することは実態に合わない」と指摘。持続可能な高齢者医療制度の検討にも言及した。また、高齢化に伴う労働力不足や経済規模の縮小などを補う施策の推進体制を大綱に明記し、政府がフォローアップする方針を示した。分野別の基本的施策には地域包括ケアシステムの構築や健康・医療産業の国際展開などが盛り込まれた。

日本の総人口に占める 65 歳以上の人口割合は2023年時点で29.1%。その後も年々上昇し、2025 年には「団塊の世代」が 75 歳以上となる。2030 年代後半に85歳以上人口が初めて 1000 万人を超える。さらに、2040 年には「団塊ジュニア世代」が65 歳以上となる。

大綱は、「我が国の平均寿命は世界で最も高い水準となり、高齢者の体力的な若返りも指摘されている。また、65 歳以上の就業者等は増加し続けており、その意欲も高く、このような状況を踏まえれば、65 歳以上を一律に捉えることは現実的ではない」と指摘する。その上で、若年世代から高齢世代までの全ての人が、それぞれの状況に応じて、「支える側」にも「支えられる側」にもなれる社会を目指していくことが必要との基本的スタンスを明示した。

◎高齢者医療制度「年齢にかかわりなく、能力に応じて支え合う」を踏まえ負担の判断基準検討

特に高齢者医療制度については、「持続可能性」に言及。2023年12月22日に閣議決定した政府の「改革工程表」に、「年齢にかかわりなく、能力に応じて支え合うという観点から、2028年度までに後期高齢者の窓口3割負担(現役並み所得)の判断基準の見直し等の実施について検討する」と明記したと指摘。「現役世代の負担が増加することや、2022年10月に施行された後期高齢者医療制度における窓口負担割合の見直し(一定以上所得のある者への2割負担の導入)の施行の状況等に留意しつつ、検討を進める」との方針を明記した。

◎現在65~69歳の「就業率」52.0%を2029年に57.0%引き上げで数値目標

一方で、労働力不足や地域社会の担い手不足をいかに克服するかも課題となる。今回の大綱では、就業・所得や健康・福祉など分野別の基本的施策を示したほか、施策推進に向けた「数値目標」を明示している。具体的には、現在65~69歳の「就業率」の52.0%について、2029年に57.0%に引き上げるほか、特定健康診査の実施率を現在の58.1%から2029年に70%に引き上げるなどの目標を明示した。

このほかICT・介護ロボット等の導入事業者割合を2023年の29%から、2026年には50%、2029年には90%とする数値目標も盛り込んでいる。

◎高齢期にかかりやすい疾病等及び健康増進に関する研究 病態や発症機序解明で創薬加速

研究開発や国際展開については、高齢期にかかりやすい疾病等及び健康増進に関する研究開発等として、「その病態や発症機序解明等の研究を進め、創薬を加速化する。ゲノム科学等先端科学技術の活用等により、新たな医療技術の研究開発や臨床応用を進め、効果的な保健医療技術の確立も目指す」と記載した。健康・医療産業の国際展開として、「我が国の健康・医療関連産業の国際展開を推進する。対象分野については、医療・介護のみならず、裾野の広いヘルスケアサービスを含む全体をパッケージとして展開する」との推進施策も盛り込んだ。

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